6話 新たなる仲間?
「次の者!前へ!」「はい!」
先程のランニングで時間内にどれだけ走れたか記録し、成績の低い者から呼ばれている。
この次は私で、最後はサクヤだ。
「次の者!前へ!」「...はい」
私は落ち着いて返事をし前へ出る。
「ドール家の...」
小声で言ったつもりだろうが聞き取れてしまった私は教員を一睨みする。
「(...チッ!)どうした?出来ないのか?!」
尚も高圧な態度をとる教員に辟易しつつ、私は術式を組み上げ披露する。
ッバァァァァーーーーーン!!!
ただの水塊とは思えない威力に生徒たちはおろか教員まで驚く。だが
「持って生まれた資質を此れ見よがしに振るうとは...もう良い!次!」
憎々しげにこちらを見ながら声を荒げる教員に対しサクヤが「ハイ!」と歯切れ良く返事する。
ッバァァァァーーーーーン!!!
先程放った私の水塊とほぼ同じ威力を見せたサクヤに対し教員は
「流石はエルフ家ご令嬢!見事です!」「ありがとうございます」
私との態度が大違いだ。だがこちらにやって来たサクヤがすれ違いざま
「今だけです。私が親ドール派と見なされたらすぐにでも態度が変わりますよ」
そう言って私には口を開かぬよう目配せしてきた。
実技テストも終わって更衣室に戻り皆が着替え教室に戻る中、私は別室で着替え教室に向かう。
幸いというか、祖父と母を失ったのが入学前だった為その時に大きな傷を受けた事になっている。
なのでその傷を見られたくないと言う理由で別室を確保出来た。
「本当は性別を誤魔化してるから男子更衣室なんて使えないだけですけどねぇ〜」
「男装なんてしたくてしてるんじゃないって知ってるでしょ!それよりアナタ呑気にこんな所に居て良いの?」
昔から知ってるクセに他人事のような物言いをするクレアに私は何故ここに居るのか問うと
「午後は1限しかなかったんですぅ〜」
と嬉しそうに答えた。
「はぁ...先程授業中にも言いましたがもっと警戒して下さい。ここまで声が聞こえてますよ」
クレアとお喋りしながら別棟から教室のある本棟に向かう通路でサクヤが待ち構えていた。
「もし誰か居たらアナタが知らせてくれたでしょ?」
私がサクヤの肩に手を置いて言うと「はぁ...」再度ため息をつかれた。
そんな他愛のないやり取りは程々にしてクレアと別れ、サクヤと共に教室に向かうと
「殿下、のんびりしていてはホームルームに遅れますよ」
「あぁ分かった」
突然サクヤが殿下呼びしてきたが慌てず対応する。事前に決めてある合図で今回が初だったが、即座に対応出来た事に安堵する。
進行方向から来た生徒たちとすれ違い暫く歩いた所で私はサクヤに
「わざとでしょ?」「何がですか?」
ギリギリで知らせてきた事に不満を漏らすも、トボケられた。サクヤとしては私に釘を刺したかったのだろう。
そうこうしてるうちに教室に着いたので入室すると
「遅い!グズグズするな!」
先程実技のテストを請け負っていた教員が何故か教壇に立っていた。訝しむ私を余所に再度声を荒げてくる教員に辟易していると「席に着きましょう」とサクヤに(小声で)促された。
「申し訳有りません」
そうサクヤが教員に謝罪し頭を下げると「貴様も早く席に着け!」と怒号が...
どうやら既に密告済みのようだ。多分サクヤが私を迎えに行ったのを見計らって動いた生徒が居たのだろう。現に私が教室に居る生徒を睨め付けるように見渡すと、ニヤニヤしている生徒が...大半だった。
(そこまで12公家の反ドール家教育は根深いのか)
ある程度覚悟はしていたがここまでとは思っていなかった為、流石にショックを受けていると
「気丈に振る舞って下さい」
小さいながらも力強い意志の籠もった声でサクヤに叱咤され、僕はニヤついている生徒に侮蔑の意志を込めて見下し鼻で笑ってから席に着く。
ガタガタっと音がしたが教員がホームルームを始めた為何も言えず、小さく舌打ちするのが聞こえた。
「お疲れ様でしたぁ〜」「相変わらず気の抜ける挨拶ね」「えへへっ♪」「褒めてないから!」
平常運転のクレアに珍しく食って掛かるサクヤに私が驚いていると
「流石にあそこまで露骨だと私でも腹くらい立ちますよ!」
「あぁ...そうなんだ...」「何があったんですかぁ?」
私が呆気に取られクレアが質問するとサクヤがソレに答える。
「ムカチ―ン!だぁ〜れですかぁ〜?!そんな奴等全部不敬罪で鞭打ちですよ!!!」
「いや...今は不敬罪って余程じゃないと問われないから...」
クレアが切れる所も今日初めて見たかもしれない。そんな事を思いつつ私はクレアを窘めていると
「不敬罪は無理でも今持ってる彼奴等の悪事を幾つか詳らかにしてやりたい気分にはなりましたね」
サクヤが何故ここまで怒りを覚えたのかが分からないが、私にとってこれは都合が良い。
「ねぇサクヤ?」「何ですか?」「実は私ね...」
そう言って私は予てから画策していた計画をサクヤに吐露する事にした。
帰宅するまで馬車の中でサクヤから先程話に上がった悪事の幾つかを聞き、こちらでも把握しているものを除きつつ整理する。
その後自室にサクヤを招き私たちが今まで掴んだ他貴族の悪行を開示した。
「こちらでも把握しているものが大半ですが、まだこちらで裏取り出来てない情報があるのが驚きですね。勿論逆も然りですが...」
開示した情報の後半部分はまだ裏取り出来ていないと告げたのだが、サクヤは8割程把握していた。
残る2割の中でサクヤが知らなかったのは2件だけだった。勿論本当の事を言っているのならば...
「ここからここまでは私の知る情報と同じなので黒と断じて良いでしょう。あと私の方で裏取り出来ていないこの案件は、後程この筋から調べて参ります」
「ありがとう、お願いするわね。それより...サクヤがここまで協力的になってくれて嬉しいわ」
私が微笑みながらサクヤにそう言うと
「最初からもっと信用してくれても良かったのでは?」
「それは無理な相談でしょう?」「ふふっ確かに」
信頼ではなく信用と言った事に私はサクヤらしいと思いつつ更に微笑んで見せると、サクヤも笑顔を見せた。
「サクヤ?あなた、私たちへの態度が今朝から軟化したように思えるんだけど...」
「あぁそれは...」
今なら聞けると思い、私が今朝から感じていた事を少しためらいながらサクヤに尋ねると...
サクヤ「(新しい仲間)誰の事かと思ったら私ですか!?」
セシル「そうみたいね」
三歳「まぁ...そうね」
サクヤ「酷い!作中では省略されてるだけで結構役立ってますよ!」
クレア「読者に省略部分は伝わりませんよ?」
サクヤ「.........」
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