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女装で女子校に通ってたらモテすぎてヤバい!  作者: 宮原


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8/22

『 お昼休み、沙耶の友達は変わり者』

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 授業が終わり、昼休みが始まった。

 正直、しんどい。

 想像以上に授業のレベルが高かった。お嬢様校だから、とは思ってたけど、現実は想像以上。まともに学校通ってなかった俺には、完全にオーバーキルだ。

 女装の練習だけでも手一杯なのに、勉強まで全力ダッシュしなきゃいけないとか、未来が不安しかない。

   どうしたら……どうしたらこの状況を乗り越えられるんだ?

 いっそ理事長に頼み込んで、成績悪くても進級できるよう裏工作してもらうとか?

 ──いやいや、ダメだろ、それ。

 そもそも俺は、学園の問題を探しに来てるんだ。自分自身が問題児になってどうする。

 ……もっと健全な思考を持て、俺。


「沙耶……」

 弱々しく縋るように、俺は彼女の名前を呼んだ。

「ん? どうしたの?」

「勉強、教えてほしい……」

「どこが分からないの?」

「どこっていうか……ほぼ全部!」

「……」

 沈黙。そして沙耶は、じっと俺を見て──。

「朱里って、もしかしてだけど、バカ?」

「うん……」

「はぁ……」

 盛大にため息を吐かれたけど、沙耶はしばらく考え込んだあと、ぽつりと。

「しょうがない。教えてあげるよ」

「ほんと?! 助かる~!」

「でも、条件がある」

「じょ、条件?」

 何だろう、真面目にやれとか、提出期限守れとか……。ドキドキしていると、沙耶は小さく笑った。

「ちょっと、助けてほしいことがあるんだ。放課後、付き合ってくれる?」

「放課後……あ、でも寮に寄って荷物の整理だけしてからでもいい?」

「そっか、今日から寮生活なんだっけ。私も寮だよ」

「ほんとに?!」

 それだけで心強さが段違いだ。

「寮生活って何かと不安だから、色々教えてもらえたら嬉しいな……」

「いいよ、そんなの。まぁ、実際住んでみたら案外何とかなるって」

「そうだといいなあ。最初寮に来たときってどんな感じだった?」

「うーん……。強いて言うなら、“一人だなー”って思ったかな。周りに人はいるのに、ね」

「……そっか」

 その感覚、なんとなく分かる気がする。


 ──ぐうぅ。


 不意に鳴ったお腹の音に、顔から火が出るかと思った。

「ご飯、食べよっか」

「うん……」

「私はお弁当だけど、朱里は?」

「私はコンビニでサンドイッチ買ったよ」

 女の子らしいお弁当と、雑な俺のコンビニ飯。差がエグい。

「今更だけど、一緒に食べてもいい?」

「うん、もちろん」


「二人とも~! 私も混ぜてよ~! げへへっ」


 ──うるさい笑い声と共に、元気な少女が突撃してきた。

「……なんだ、ひまりか」

「なんだとは何だー!」

 沙耶が苦笑しながら俺に紹介する。

「この子、天音ひまり。ちょっと変な奴だけど、適当に相手してあげて」

「よろしくお願いしまーす!」

「よ、よろしく……」

 お嬢様校にも、こういう変わり種はいるらしい。


「てか、ひまりも一緒に食べていいよね?」

「もちろん。沙耶の友達なら大歓迎だよ」

「おお~! 我に興味があるとは……まさか、惚れたか!?」

「いや、ないない」

 沙耶が即答で切り捨てる。その光景、なんだか微笑ましい。


「二人は普段、何してるの?」

「特に何も。だらだら喋ったり、黙ったり?」

「うん。そんな感じ」

「へえ~」


「それより~!」

 ひまりが急にぐいっと身を乗り出してきた。

「なんでそんなに仲良しなの?! 今日会ったばっかりじゃないの?!」

「実は、ちょっと前に一度会ってたんだよね」

「そうそう」

「へえ~、何してたの?」

「えーっと……水をもらったり、服を選んでもらったり……」

 ちょっと恥ずかしいけど、素直に答える。


「驚いたよ、まさか学校で再会するなんてね」

「ほんとそれ」


「ひまりは寮生活なの?」

「んだな~」

「仲間だね! 困ったことあったら相談していい?」

「いいけど~、その代わり我にも頼らせてもらうぞ~!」

「全然いいよ」

「契約成立だ~! ゆびきり、ゆびきり!」

 指切りなんて何年ぶりだろう。沙耶が、ちょっと不満そうに見えたのは気のせいだろうか。


「朱里、ちょっとおかず分けて?」

「え? うん、いいよ」

 手を伸ばしたが──沙耶は微動だにしない。

「あれ、食べないの?」

「お箸、忘れちゃって」

「あ、そっか。サンドイッチだもんね」

 お箸を渡そうとすると、沙耶はニヤリと笑った。

「めんどくさいから、朱里が食べさせて」

「……え?」

「ダメ?」

 同性同士なら普通のこと……だよな? たぶん。

「わ、分かった……。あーん……」

 沙耶は小さな口を開けて、ぱくり。


「この卵焼き、中にチーズ入ってておいしい……!」

「よかった~。簡単に作れるんだよ」

「え、これ、朱里が作ったの?!」

「うん」

「すごっ! 我も食べたい!」

「どれがいい?」

「肉!」

「じゃあ、豚の照り焼きだね、はい」

「あーん! んんっ、美味いぞ!」

 二人とも、すごく嬉しそうだ。


「二人とも、料理とかしないの?」

「私はしないなあ。やったこともない」

「我はコンビニ飯か売店飯!」


「そっか、寮だとそんな感じだよね。でも、自炊ってできるの?」

「昔、してる人を見たことあるけど、許可がいるんだってさ~」

「そっかぁ。許可とかめんどくさいし、私も明日から学食にしようかな」


「えぇー?!」

「なんで?!」


 二人の反応が意外すぎた。

「……だって、手続きとか苦手だし」

「違うんだよ、朱里」

 沙耶が、真剣な顔をして俺を見た。

「私たち、朱里のご飯、また食べたい」

「……え」

「そうそう。我もな!」


 ──なんか、すごく、嬉しかった。

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