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『お好み焼きの具ってお好みで良いんだよね?』

読んでもらって、ブックマークなどしてもらえるとモチベーションにつながるのでよろしくお願いします。

 とりあえずスーパーには来てみたものの、なんというか──段取りが分からない。

 どうすればいいんだろう。鍋みたいに「今日はこれをやろう!」って決めるのか、それとも各自が好きなものを適当に買う感じなのか……はたまた全然違う流れがあったりするのか。


 初めてのことだし、勝手が分からないのは仕方ない。けど、こういうのって最初に方向性を決めておいた方が、後々スムーズに進められる気がする。

 それに、こうして問いかけることで、みんなの考えも聞けるかもしれない。


「そんなもん適当で良いんじゃないのか?」


 ひまりは、ひまりらしい答えだ。ぶれないなあ。


「私はこういうの、そもそも初めてだからね……。うーん、何かテーマとかあった方がいい気もするけど」


 沙耶は少し考え込むようにして言った。これも彼女らしいといえばそうか。


「私はお姉さまに従いますよっ! 美味しくて楽しければ、それで十分です!」


 乃愛のこの従順さは、ある意味でありがたい。問題は──


「……で、結局どうするのか、だよね」


 今のところ意見は割れているし、何かしら折衷案を探す必要がある。せっかくだし、みんなで楽しめる形にしたい。特に、ひまりと沙耶の意見はどちらも活かせたら理想的だ。


 それに──あまり深くは考えたくないけれど、俺がいなくなっても、彼女たちが仲良くしていてくれたら、それだけで報われる気がする。……今は考えるタイミングじゃないけど。


「ところで、誰かホットプレート持ってたりする?」


「それなら持ってるぞ!」


「え、本当? ひまりって料理しないって言ってなかった?」


「一度ホットケーキ作ってみたくて買ったんだけどな~。思ったより難しくて、うまくできなくてな。それっきりだ」


「なるほど……。じゃあ、お好み焼きとかホットケーキ系でいくのはどう? ホットプレートも活用できるし。あとは各自で食べたいものがあればカゴに入れてもらって大丈夫。お金は──私が出すから」


 ありがとう、理事長。内心でそっと手を合わせる。


「ほんとか~!? 朱里のおごりだ~!」


「お好み焼き、いいかも。久しぶりに食べたいと思ってたところだし」


「焼くのは任せてくださいっ! ちゃんと美味しく仕上げますよ? でも、先輩……ほんとに払っちゃって大丈夫なんですか?」


「うん、気にしないで。好きなもの、遠慮なく入れてくれて大丈夫」


 理事長に請求が行くからね。

 それに、みんなが楽しそうにしているのを見ると、こっちまで楽しくなってくる。


 三人とも自然に会話していて、なんだかんだ良い雰囲気だ。俺がこの場にいなくても、こうして関係を築けるなら……なんて考えは、今は横に置いておこう。


「朱里、どうかした?」


 沙耶が心配そうに覗き込んでくる。ちょっと考え込んでたらしい。


「あ、ううん。何買うかちょっと迷ってて……。そういえば、お好み焼きって、大阪風と広島風どっちが良いとかある?」


「私はどっちでも良いかな」


「えっ、広島風じゃないのか?!」


 ひまりの声がひときわ大きく響く。


「えっと……私は大阪風しか作ったことないんだよね」


「我は広島風がいい!」


「だったら──お姉さまも先輩も、それぞれ自分のスタイルで作ればいいんじゃないですか? 二種類あれば、食べ比べもできますし」


 意外にも、乃愛がまともな案を出してくれた。


「いいね、それ。賛成」


「なら我も良いぞ! ただし、調理は朱里に任せる!」


「ええ……。自分でやってみようよ。手伝うからさ。焼くだけならきっと大丈夫」


「不味かったら嫌だぞ? 美味しいのが食べたいんだ」


「大丈夫だって! 自分で作ると、美味しさも倍になるよ? それに、楽しいし!」


「……そうか? じゃあ、やってみるか!」


「うん、その調子! 具材とか欲しいものがあったら、どんどんカゴに入れていってね~」


 そのままみんなでスーパーをぐるっと周回しつつ、各自が欲しいものや面白そうな具材をぽいぽいと放り込んでいく。

 せっかくだし、ちょっと変わり種も買ってみようかな。もしかすると、新たな発見があるかもしれないし。


 お好み焼きに加えてホットケーキも候補に入れてたけど……流石に両方は多すぎるか。様子を見て、余裕があればってところだな。


「みんな、ちょっと入れすぎじゃない……?」


「え~? 朱里のおごりだし、つい!」


「私はそこまで入れてないよ? でも、これはどうしても食べたくて……」


「具材は多いほうが美味しいに決まってます!」


 うん。たぶん、この三人の“常識”を信じて動くより、自分で判断して進める方が賢明なんだろうな……。

 でもまあ、楽しそうだし、これでいいのかもしれない。


「分かった。でもね、保存の効かない食材はできるだけ早く使いたいから、その辺は協力してね?」


「やった、口実ゲット!」


「朱里がそこまで言うなら、仕方ないかな」


「私も当然、お手伝いしますよ!」


 うん、どうやら全員、前向きな気持ちでいてくれているらしい。

 今夜のパーティは、きっと賑やかで、楽しいものになる。



***


みんなで荷物を運び、寮まで戻ってきた。


「ここが先輩の部屋なんですねっ?! 今日からここに住ませていただきます!」


「なんだと~?!」


「住ませないよ……。ていうか、どうする? 始めるにはまだちょっと早い気もするけど」


 時刻は午後五時すぎ。世間的には、さすがに食事にはまだ早い。


「んー、私も朱里と同じで、まだかなって思う。もちろん、ちょっとつまむくらいならいいと思うけど……お腹空かせたいのに食べるって、なんか矛盾してるし」


「えー……お菓子はダメですか?」

 乃愛がしょんぼりと肩を落とす。


「少しなら、いいんじゃないかな。もちろん、そのあとちゃんとご飯も食べられる前提だけど」

 そう答えると、乃愛はぱっと顔を輝かせた。


「うぅ……じゃあっ! 買ってきたお菓子、一箱だけ開けます! それをちょっとつまむくらいならセーフですよね!」


「うん、それなら問題ないと思う」


「お姉さま、ありがとうございますっ!!」


 買ってきたばかりのお菓子を我慢するのは、難しいってことくらい俺にも分かる。俺もちょっとだけ、いただこうかな。


「それにしても、相変わらず朱里の部屋って物がないな~!」


「それにしてもって……ひまりが前に来たの、そんな前じゃないでしょ! 私が寮に来たのだって最近なのに!」


「まあまあ、そんな怒るなって。そんな朱里に、今日はプレゼントがある」


「え、なになに、気になる」


 ひまりは部屋を出て、自分の部屋へと戻っていった。


「ひまり先輩って、にぎやかですよね」


「それがひまりのいいところ。うるさいし、わがままなとこもあるけど、乃愛ちゃんさえよければ仲良くしてあげてね」


「もちろんです! 私、全然構いません! 沙耶先輩とひまり先輩って、仲良しですよね?」


「それ、私も思ってた。二人には、付かず離れずのちょうどいい空気感があるっていうか」


 俺から見れば、理想の距離感ってやつかもしれない。もちろん、それが全てじゃないけど。


「仲がいいって言うと、なんかしっくりこないけどねー。昔からの付き合いだから。腐れ縁って感じかな」


 正直、ちょっと羨ましいと思った。当の本人はありがたみを感じにくいかもしれないけど、俺にとっては本当にいいなって思える関係だった。


「じゃーん! これ!」


 ひまりがホットプレートを手に戻ってきた。


「……いや、今日使うホットプレートじゃん?」


「そう! だからプレゼントしてやる! 嬉しいだろー?」


「……自分が使わないからって、私の部屋を物置にする気……?」


「違う違う! 確かに使ってなかったけど、ゴミじゃないって! 一回しか使ってないし、キレイだし! 朱里が使ってくれたらちゃんと価値あるし!」


 ひまりは思ったよりも必死だった。確かに見た目は綺麗で、新品といっても通るくらいだ。


「本当にいいの? ひまりが買ったやつでしょ?」


「だってー、使わないしー。だったら、使ってくれる人に渡した方がいいって! それに、こうやって部屋に来たときに、私も使えるし!」


「……分かった。一応預かるって形にするね。完全に貰うのは、ちょっと気が引けるし」


「ほんとにー? あー、朱里は真面目だな~」


「ひまりがだらしなさすぎるのよ。さっきもその話してたし」


「なんだとっ?! 我がいない間に陰口とは……おい沙耶! 絶対お前が言い出しっぺだろ!」


「え~? どうだったかな~?」


「こら~! なんでそうやっていつもいじるんだよ!」


「いじってないよ? 仲良しってことでしょ?」


「誰がそんなこと言ってたんだよ!」


「誰だったかな~?」


「こらーっ!」


 ほんと、仲が良さそうだ。俺には一生作れないような関係かもしれない。……そんなこと考えるのは、今やめよう。せっかくの時間を楽しもう。


「ところでさ、すごく唐突なんだけど……みんなにとって“青春”って、何だと思う?」


 今なら、みんなの意見を聞ける気がした。


「ど、どうしたの朱里……?」


「お姉さま、もしかして病んでますか?! 落ち着いてください! 私、ずっとお姉さまの支えになりますから!」


 乃愛がぎゅっとくっついてくる。……いや、複雑な気持ちになるな、これは。


「そういうわけじゃないよ。ただ、ちょっと気になって」


「青春って言われてもなー」


「例えば、学生生活中にやってみたいこととか?」


 正直、自分でもよく分かってないことを人に聞くのだから、微妙な顔をされるのも仕方ない。


「私はお姉さまと一緒にいられれば、それでいいです!」


「……随分とはっきりしてるね?」


「はいっ! お姉さまのそばにいられることが生きがいです!」


「ちょっと重いけど……」


 扱いに悩むけど、無下にする気もない。自分なりに、きちんと返していきたいと思う。


「分かった。そう言ってくれるの、嬉しいよ。大事にするね」


「えっ?! それって、付き合うってことですか?!」


「え? いや、そういう意味じゃなくて……それに、同性だし……」


「愛に性別なんて関係ありませんよね?! そう思いませんか?!」


 乃愛が他の二人に同意を求める。


「うーん、確かに。普通は異性だけど、好きになったら仕方ないってこともあるかもね」


「我もそう思うぞ! 性別よりも“誰”に惹かれるかが大事じゃ!」


「なるほど……そういうのもあるかもね」


 俺にはピンとこないけど、反論できる言葉も見つからなかった。


「つまり、私と一緒に過ごすことが青春ってことです!」


「そういうことか……」


 感覚的には“友達と過ごす”に近いのかな。それなら、分からなくはない。このメンバーで学生生活を送れるなら、それだけで青春かもしれない。


「沙耶とひまりはどう?」


「んー、難しいけど……楽しい思い出を作れたら嬉しいかな。長期休みとかに旅行できたら、憧れるかも」


「旅行かぁ。確かに楽しそう。みんなで行けたらいいね」


「我は行きたい!」


「お姉さま達が行くなら、私もぜひ!」


「じゃあ、機会があれば計画してみようか。沙耶、ありがとう」


「こんなので良ければ、いつでも」


 理事長のお金で……いや、それは後で考えよう。


「で、ひまりは?」


「私はねー、誰かと同室になりたいな!」


「だから、朱里の部屋に勝手に泊まったりしてるわけ?」


 沙耶が呆れた顔をする。


「まぁ、そういうとこもあるかな!」


「先輩たち、二人とも一人部屋なんですね? 寮ってもっと詰め込むのかと思ってました」


「私も同じこと思ってたよ。私も今は一人部屋だけど、ひまりも一人って聞いた時びっくりしたし」


「んー、私はルームメイトいるんだけど、どうなんだろ?なんか学園側が結構勝手に決めてるイメージなんだよね。何か基準があるのかもしれないんだけど」


「そうなんだ~」


「でも、一人部屋って気軽に訪問できていいですよね!」


「だろー? 朱里の部屋は我が自由に出入りできるし!」


「流石にそれは羨ましい……!私も寮に申請しようかなー。先輩たちと遊べる機会増えるのは明確なメリットだし……」」


「学校まで迷いずらくもなるしね?」

 

「確かに!?お姉さま流石賢いです!」

 どちらかと言うと皮肉交じりに発言したのだが、それも乃愛にとっては良いらしい。


「家から通学の方が自由度は高いし良いんだろうけどね。私は寮生活の方が楽しそうって理由だけで来てみたし」


「我は沙耶が寮に行くって言うから、一緒に来たんだぞ!」


「え、そうだったの?」


「前に言っただろ! もう、なんにも覚えてないよな!」


「ごめんごめん、今度はちゃんと覚えるようにするから!」


「ったくもう!」


 また、二人は笑い合っていた。


「私が思うに、“青春”って、何をしたかじゃなくて、“楽しんだか”が大事なんじゃないでしょうか? 後から振り返って『楽しかったな』って思えたら、それが青春だと思います!」


「……乃愛、いいこと言うね」


 本当に、心に響いた。何かをすること。それ自体が大切なのかもしれない。


「もっと褒めてください!」


「あーよしよし、いい子いい子」


「わはーっ!」



***


「そろそろ始める? なんだかんだ時間経っちゃってたし、具材の準備にももう少しかかると思うし」


「いいと思うよ」


「やっと食べられるのか!」


「待ってました!」


「ちゃちゃっと準備するから、少し待ってて」


 そう言って、手早く材料を並べていく。

 関西風と広島風、それぞれの具材を下ごしらえ。

 こだわるほどではないので、お好み焼き粉は市販品。便利すぎてありがたい。


「お待たせ〜。とりあえず、これで大丈夫かな。あとはみんなが選んだ食材を加えつつ、焼いていくだけ」


「はやっ?!」


「まずはどっちから焼くの?」


「どっちがいいとか、あるのかな」


「関西風、食べてみたいです! なんとなくですけど!」


「じゃあ、それでいこっか。みんな、入れたい具材出してくれる?」


 テーブルに、それぞれのお気に入りが並んでいく。……お好み焼きだけに、お好みの物を。


「私はタコ! たこ焼きでよくない?って思ったかもしれないけど、違うんだよ。たこ焼きが美味しいなら、お好み焼きでも絶対美味しいでしょ!」


「沙耶、落ち着いて……。誰も何も言ってないから。それに、普通に美味しそうだし。海鮮風って定番でもあるしね」


「そ、そう? ならよかった……」


 沙耶はちょっと照れくさそうに微笑む。


「私はチーズにしてみました! 何にでも合う万能食材ですし、間違いないと思いますっ!」


「いいね、チーズ。香ばしくなって美味しそう」


「我が選んだのは……ポテトチップス! 単体であれだけ美味しいなら、加熱したらさらに美味しくなるに決まってる!」


「食感が面白くなりそうだし、意外と合うかも。じゃ、焼いてみようか」


 生地を薄めに広げ、軽く火を通してから具材を乗せていく。

 実はそんなにやったことないんだけど、やってみるとなんとかなる……かもしれない。


「こんな感じなんだ」


「これなら、我でもできそうな気がするな!」


「ある程度のクオリティでいいなら、難しくはないと思うよ」


「お姉さまが上手なだけですよっ!」


「それはあるかも〜」


 ……どっちなんだ。


「これって、このあとひっくり返すの?」


「うん、そうだね」


 ──ここで大きな問題に気づいた。


 ヘラがない。


 どうやって返す……? 箸と包丁で無理やりやるしかないか……?

 料理が得意そうな空気を出してしまった以上、ここで醜態をさらすわけにはいかない!


 もう少しだけ固まるのを待って──よし、集中。


 全神経を研ぎ澄まして……今だっ!


 よし……!


 落ち着け、俺。喜ぶな。

 出来て当然って顔をしておくんだ。きっとそう思われてる。


「お姉さま、すごいですっ!」


「さすが朱里……!」


「なかなかやるじゃん!」


「そう……? ありがとう」


 ふう。なんとかごまかせた。


「そろそろ焼けたかな?」


「うまそ〜!」


「すごくいい匂い」


「お姉さま、四人分のお皿です!」


「ありがとう。切り分けて、それぞれ好きにソースとかかけてね」


「はーい!」


「いただきまーす!」


「いただきます!」


 一口食べて、思わずほっとする。

 変わり種ばかりで不安だったけど、ちゃんと美味しい。

 みんなの選択が意外と的確だったのかも。


「美味しい!」


「うん、美味しいですね!」


「これはイケるな!」


「ほんとだ〜。よかった、ちゃんと焼けてて」


「次の焼こうよ! すぐなくなっちゃった!」


「ひまり先輩、もうちょっと落ち着いてください〜。慌てすぎですよ!」

 ひまりは乃愛が汚した口を拭ってあげていた。


「だって美味しかったんだもん〜。はやくはやく!」


「わかったって。じゃあ、今度は誰かやってみる? 多少失敗してもいいから」


 せっかくなら、みんなで一緒に作ったほうが楽しい。


「じゃあ……私、やってみようかな」


「ほんと? やろうやろう!」


「沙耶がか〜? 頑張れよ〜」


「沙耶先輩、ファイトですっ!」


「頑張る……!」


 少しだけ、やり方を伝えながら見守る。


「こう……かな?」


「うん、上手上手。しばらくそのまま焼いてから、具材を乗せてみて」


「……わかった」


 沙耶は真剣な表情で、生地を丁寧に広げていく。

 慎重な分、手際も悪くない。これは上達も早そうだ。


「これって、もう返すタイミング?」


「そうそう。大丈夫、少しくらい崩れても平気だから。包丁に具をのせて、箸でそっと抑えて、くるっとね」


 さっき自分も緊張してたくせに、妙に慣れた風に説明してるな……。


「……分かった」


 沙耶は一度深呼吸をして、動作に入る。


「──っ、できた! ねえ朱里、これ……!」


「めっちゃ上手いよ沙耶! 初めてとは思えない!」


 正直、自分より綺麗にできてる気がする。


「沙耶先輩、すごいですっ!」


「お前、意外と料理上手なんだな〜」


「よかった〜……めちゃくちゃ緊張したけど……」


「今回のは広島風だから、またちょっと違うと思うよ?」


「楽しみ!」


「いただきまーす!」


「うん……! 自分でこんなにちゃんと焼けるなんて思わなかった……」


 沙耶は嬉しそうに微笑む。その顔を見て、なんだかこっちも温かい気持ちになる。


「さっきのとはまた違って、これも美味しいですね!」


「麺が入ってて最高だな! たこ焼きと焼きそばとお好み焼きの夢の共演!」


 確かに、というか既に商品としてありそう。見た事はないけど。


「ほんとに美味しいね」


「朱里、教えてくれてありがと〜。挑戦してみて良かった。楽しかった! 料理って、思ったより面白いかも」


「そう言ってもらえると嬉しいよ」


「これも、さっき朱里が言ってた"青春"ってやつになるのかも……。自分で言うのはちょっと恥ずかしいけど」


「だね〜」


「それなら次、私もやってみたいですっ!」


 そんなふうにして──楽しい“青春ごはん会”は、まだまだ続きそうだった。

読んでもらって、ブックマークなどしてもらえるとモチベーションにつながるのでよろしくお願いします。

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