『帰ったら人生が終わってた』
以前書いていたものを作りなおしました。ストーリーやキャラは変わる予定です。まだ、設定などが決まきってないので、手直し入る可能性ありです。
読んでもらって、ブックマークなどしてもらえるとモチベーションにつながるのでよろしくお願いします。
夕方過ぎ、自宅の戸を開ける。
学校に行っていたわけでもない。適当にサボって、気だるげに帰宅した。後ろめたさがないわけじゃない。当然、親からはまともに学校へ行くように言われている。
行かない理由は単純だった。学校の授業のレベルが低い。周りの連中もやる気がない。そんな環境に身を置くこと自体が無駄に思えて、いっそテストだけ受けて進級できればいいと割り切っていた。だが、そんな生活も今日で終わることになる。
玄関をくぐると、珍しく父親の声が居間から聞こえた。
「怜央」
普段なら帰宅時間が合わない父親が、家にいるのがまず意外だった。訝しみながら扉を開ける。
「ただいま」
「おかえり」
「おかえりー」
そこには父親と、見知らぬ女性が座っていた。
「……不倫相手?それとも再婚相手とか?」
「おー、そうなのか?」
「そんなわけあるかっ!」
父親が呆れたように額を押さえる。
「未だに幸せな夫婦生活築いとるわ。まあ、そこに座りなさい」
いつにも増して不自然な空気。また説教か何かだろう。カウンセラーの紹介でもされるのかと思ったが、それにしてはわざわざ家まで来るものか?
「それで、不倫相手でもないなら誰?」
俺の疑問に、見知らぬ女性が柔らかく微笑む。
「怜央君、今日は君に大事な話があって来たの」
「……まあ、そんな気はしてたけど」
「理解が早くて助かるよ。君、あまり学校に行っていないみたいだね?」
結局、その話か。つまらないな、と内心で舌打ちする。
「それで?」
「一応、その理由を聞いてもいいかな?」
「嫌だと言ったら?」
「ふーむ、それは困ったね」
「怜央、ちゃんと答えなさい」
父親が軽く咳払いをする。
「この人、カウンセラーか何か? 別に病んで学校に行ってないわけじゃないんだけど」
「この人は理事長だ」
「は?」
思わず声が裏返る。
「……理事長?! 俺、そんなにヤバい状態なのか?」
「いや、お前の学校の理事長じゃない」
「違うのかよ。ってことは、あいつの学校の理事長か? いや、わざわざ俺に話があるとも思えないし……。なら、俺に関係ない話じゃない?」
「理事長と聞いた途端のこの引き腰。さすが我が息子だな」
「うるせーよ」
「まあまあ。とにかく、ざっとでいいから、学校に行かない理由を聞かせてくれるかな?」
正直、説明するのも面倒だが、話せば早く終わるだろう。適当に大まかな理由を話す。
「なるほどねー。まあ、大体は想定通りかな」
「……?」
なんなんだ、この流れは。
「怜央。お前には悪いが、転校することになった」
「は? 何、急に?」
「急なのも悪いし、勝手に決めたことも済まないと思っている」
「その転校先の理事長がこの人ってわけ?」
「賢いね、その通りだよ」
「……いや、それでも理事長が家に来るなんて普通じゃなくね?」
「お前、緋桜学園って学校知ってるか?」
「え? んー、名前くらいは? なんか結構頭のいい学校とかそんな感じの……」
「そうだ。お前はそこに転校することになった」
「な、なんで……? 引っ越しでもするのか?」
「違う。理由の一つは、お前をちゃんと学校に行かせるためだ」
ぐっと言葉に詰まる。さすがにそれを言われると反論しづらい。
「ふーん。それで? まともに学校に行ってない俺を、そんな良い学校が拾ってくれるなんて話、都合良すぎない?」
「聞いて驚け。今回の条件は、学費免除、寮での食事も無料だ」
「ますます怪しいだろ。それで、俺を入れたい理由は?」
「それはな……」
女性――理事長が静かに口を開く。
「私の学校の内部を調査してほしいの」
「……は?」
「君のように、私に対して媚びない人間じゃないとダメなんだ。学園内の問題がないのであれば、それはそれで構わない。普通に学園生活を送ってもらえればいい。ただし――」
理事長は少し笑って、衝撃の一言を放った。
「緋桜学園は女子校よ」
「……は?」
「何か問題でも?」
「大ありだわ!!!」
頭を抱える俺をよそに、父親と理事長は笑っていた。
「怜央、女装の練習手伝うから! 任せなさい!」
「……世の中、狂ってる」
読んでくださってありがとうございます。拙い文章ですが、読みやすくをメインに書いていきたいと思っています。ブックマークなどしてくださると助かります!