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世界のつくりを説明する試み  作者: もりを
意識編
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3・彼の中に生きるものたち、って

3・彼の中に生きるものたち、って


適者生存による自然淘汰を受ける上に獲得形質を遺伝させないダーウィン進化に主体性を持ち込むのは整合性に問題があるけど、これは物語なので以降も、彼の中の「装置の駆動」を「行動」とし、その振る舞いを能動体の形で描かせてもらう。


その彼に意識を持たせよう、って試みがこのお話なんだから、まったく矛盾したものだ。


ま、そこはこらえてもらうとして・・・


さて、彼は絶え間なく働きつづけてる。


外界から材料を取り込み、新しい部品を組み上げ、壊れたものを外して交換し、必要のなくなった古材は体外に排出する。


外界からは、単元素のような粗素材だけを取り込むわけじゃない。


欲しいのはぶっちゃけ、アミノ酸だ。


古い時代にそのアミノ酸をいちから組み立ててたことを、彼は遺伝子の中に記憶してる。


めんどくさいそれをすることもできるけど、都合のいいことに、外界にはそいつが・・・つまりアミノ酸がふんだんに漂ってる。


それどころか、アミノ酸を長々と連ねたタンパク質、脂質、核酸などの高分子までが、周囲には濃厚に存在する。


それらは彼のように生命体になりきることなく、実験段階で敗れ去り、崩壊していった前駆体たちの残滓だ。


おびただしい前駆体が、数億年もの間、駆動原理と素材開発競争の中でさまざまな試行錯誤を繰り返した末に、ついに生命を獲得することなく、海の底のもくずとなったんだ。


図らずもそれが今、彼の「食べもの」となってるわけだ。


彼は外界のものを飲み込むとき、物質の選別のために小さなチャネルを利用するけど、もっと大きなものを「自分の外膜ごと」丸呑みする(エンドサイトーシスという)こともできるんだ。


そうして体内に取り込んだ高分子は、組み立てとは逆に分解され、アミノ酸に選別される。


さらに、ゲノムにコードされた順序で各種アミノ酸を並べてタンパク質の形に合成し、自分のパーツとして望みの部位にはめ込む。


なんと楽ちんな新陳代謝だろう。


おびただしい前駆体は、こんな分解と再構築の化学反応を磨き上げる数億年を送り、その技術を最終的に彼という洗練形に極めたんだ。


つまり、彼の中には途方もない数の生命前駆体が生きてる、ってことになる。


つづく

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