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世界のつくりを説明する試み  作者: もりを
意識編
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2・最初期生命体の営み、って

2・最初期生命体の営み、って


彼は、最もシンプルなつくりをした単細胞の原形質だ。


まだ、生きていく上における最小限の装備しか持ってない。


生きることのみに特化した彼の外観には、手足や目耳はおろか、口も肛門もついてない。


だけど、体・・・というよりも「彼という物質系」を覆う脂質の膜には、イオンチャネルという出入り口(弁)が設けられてて、彼の内部と外界との電荷の勾配で物質がやり取りできるようになってる。


彼はその構造を利用し、必要なものを受容することができる。


だけど周囲には、爆発的燃焼剤である酸素も、光合成に道を開く太陽光もなく、鉄や硫化水素や二酸化炭素などという味気ない素材しかない。


それでも彼は、各種イオンを内部に取り込む際に酵素を駆動させ、粗分子から元気玉を組み上げるという仕事をすでに体得してる。


そうしてできた元気玉を用い、日々、単純な代謝にいそしむ。


体内で行われてるのは、物質の酸化・還元という化学反応(電子の使い回し)だけど、これがうまい具合いにエネルギーの循環となる。


ひと仕事を終えると、おつりのようなメタンが生成されると同時に熱も発生してるので、どちらも体外に捨てる。


彼はこうして、ふさがった系の中でエントロピーの平衡状態を自律的につくり出す。


ただその作業は、彼の意を反映してるわけじゃなく、ゲノムの命ずるところのものだ。


そんなゲノムもまた、自分の目的を反映させようと意図して命じてるわけじゃない。


自然界の現象が積み重なって積み重なって、たまたま「このやり方は系の中で物質がサイクルする」というメカニズムに行き着き、たまたまその仕様を核酸が塩基配列にコードしただけだから、その先のことなんて考えも及ばない。


つまり、彼のスタイル構築にも、その内部系統にも、さらには彼の仕事っぷりにも、どこにも「意識」は働いてない。


彼は、意識を持ってないんだ。


まだ。


だとしたら、彼の意識はいったいいつ、どこで、どう芽生えたんだろう?


つづく

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