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世界のつくりを説明する試み  作者: もりを
意識編
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1・最初の生命体、って

1・最初の生命体、って


彼はこの世界に生まれ、「生命」なる得体の知れないものを起動させた。


いや待てよ・・・「生まれ」という言い方は厳密な意味では正確性を欠くので、「できた」と表現するべきかな。


「・・・を起動させた」という言い方も、あまりにも自覚的かつ能動的すぎるかもしれない。


正確を期して、「彼の中で精密に噛み合った自然物からなるメカニズムの活動が自律的に開始された」と受動体にしよう。


とにかく、彼は無自覚なまま、「生き」はじめたんだった。


彼は生きることそのものを全機能とし、ひとまず死なないことを全うすることに特化した、純粋な生存機械だ。


その存在自体が生命現象そのものと言ってよく、他に意図も目的も持たない。


エネルギーを循環させること以外にはなにもできないし、自分が何者であるかも、なんのためにどう振る舞っていいかもわからない。


なにもできない、ただの「はじまりから終わりまでを自己完結させる有機物塊」だ。


彼は、あなたが思い描くよりもずっと単純で素朴なつくりで、あり得ないほど小さく、心細い見てくれなんだ。


だけど、膜によって外環境から完全に独立してるし、エネルギーと物質の流れが体内・体外の間でサイクルしてるし、そんな自分の複製をつくることもできる。


ただ、その他にはなにもできない。


さて、この先、どうしていこうか。


彼には、情報の入力網(神経系)もなく、出力装置(手足)もなく、もちろん脳も意識もない。


持ち得たのは、五感を超えた直観だけだ。


そんななにも考えることができない彼だけど、立派なことに、ちゃんと理解してる。


「動けるかぎりに動きつづけよう」と。


どういうわけか、そんな意欲に突き動かされるし、それが「生きる」ということだと訴えかけてくるものが内側にある。


それこそが、ゲノムの役割りなのかもしれない。


つづく

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