表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界のつくりを説明する試み  作者: もりを
生命編
96/117

おしまい・生きる、って

おしまい・生きる、って


最初期生命体である彼が獲得した能力は、自然界から電子を取り出すシステムだ。


この目の付けどころはすごい(目はまだないけど)。


ま、なんの食べものもないこの時代には、ジャガイモからデンプンを、肉から脂質を、なんて難しい化学(いや、むしろ手法としてはイージーなんだが)は不可能なんで、周囲に存在する元素の分子構造をいじって、最も初歩的なパズルの組み替えをするしかなかったわけだ。


とは言え、現代の高度知性を総動員しても困難極まる、こんな極限小のデストロイ&ビルドをやすやすとやってのけるとは、最初期生命も侮れないものだ。


だけど、そここそが自然特有の着想と手法なんであり、現象としての最初手なんであり、あり合わせかつ徒手空拳の生命体には、それ以外にはやりようがなかったんだ。


彼が発明したこの初手は、モダンな言い方では、呼吸というやつだ。


呼吸の役割りは、酸素や炭素を取り込んで固定する※1という二次的な利点もあるけど、究極的には、分子から電子を剥がして駆動部のスイッチングに用いる、ということに尽きる。


この作業さえ覚えれば、生きてるかぎり、システムの作動をつづけることができる。


逆に言えば、このサイクルこそが「生きる」ということなんだ。


彼は、まだまったく頼りない、微細な有機物塊だ。


だけどこの一大事件が、きみやぼくの存在へと一直線につながっていく。


彼のつくった「この世界に存在する」という概念そのものが、本当にまっすぐにきみやぼくに受け継がれてるんだよ。


まったく、信じられない奇跡だ。


ハッピー・バースデイ!生命。


おしまい


※1 もちろん、酸素が地上に現れるのは相当後の時代のことだし、太陽光の届かない深海底では光合成反応も使えない。そこで彼は、硫黄を取り込んでメタンを生成しながら炭素を固定する原始的な化学反応・・・つまり呼吸をしてたと考えられる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ