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世界のつくりを説明する試み  作者: もりを
生命編
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26・生命の夜明け前、って

26・生命の夜明け前、って


乗りもの、機械としての「物質的な彼」は、すでにチムニー内の環境で自然の力によってつくり上げられ、自律駆動の段階にまで達してる。


今つくり上げられんとしてるのは、その操縦者としての「ゲノムの彼」だ。


乗りものは、そこに乗り込む操縦者がいて、はじめて自由な活動を獲得するんだ。


ところでふと思ったんだけど、初期ゲノムは、自分自身のアイデンティティを確立させるよりも、中途半端ながらも自身をまずは分裂させることにプライオリティを置いたんじゃないだろうか。


このスタンスなら、塩基配列の書き換え機会と実験効率はべき乗となり、幾何級数的(倍々ゲーム)に進化を繰り返せる。


数撃ちゃ当たる作戦だけど、これならわずか数億年もあれば、生命メカニズムの洗練度は文字通りにケタ違いになる。


アクシデントにまかせてふたつにちぎれるだけだったRNAは、おびただしい試行錯誤によって分裂の精度を上げ(やがて二重らせんにまで発達することになる)、塩基文字の表意配列は物質の構成にまで言及するようになり、そこにコードされた内容を別ユニットが理解(ジョイントの形状の噛み合わせ検索)するようになり、指示に応じて必要な物質を集めるセクション(トランスファーRNA)や、それらを組み立てるセクション(リボソーム)、組み上がった製品をたたんだり振り分けたり配達したりする分業制にまで・・・んー、これははるか未来の話とはいえ、そう育っていくヒントを獲得していったにちがいない。


まだまだそんな構造の初歩的段階だけど、生命前駆体である彼は、ついに成長のコツをつかんだ。


無限とも思えるほどの途方もない塩基配列を試してみる。


環境になじまない試みはあっけなく打ち捨てられるが、たまたまアジャストしたものは抜きん出てコピーを増やし、台頭し、またその中から突出したアイデアが生まれ・・・まさしく加速的に進化は突き進む。


ゲノム・・・いや、今や「遺伝子」と呼ぶが、そいつのブラッシュアップと適者生存の淘汰律が働きはじめれば、あとは彼の意識が目覚めるのも時間の問題だ。


つづく

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