13・メタン生成菌、って
13・メタン生成菌、って
太古の地球に酸素はないが、二酸化炭素がある。
ミトコンドリアからさかのぼり、二酸化炭素による呼吸によって酸素を生成することを覚えたのが、葉緑体(植物細胞における葉緑素)だ。
葉緑体は、水と二酸化炭素からグルコースという栄養素をつくり、そのおつりとして酸素を排出したにすぎないが、毒でもあり爆発的燃料でもあるこの気体が、ご存じのように、生命体の形質を劇的に変えることになるんである。
しかし葉緑体は、こちらもご存じのように、日光を駆動源として必要とするため、深海底で活躍はしてくれそうにない。
そこでさらにさかのぼり、とても古いタイプの細菌である、メタン生成菌の登場なのだ。
この子は、水素を二酸化炭素呼吸で酸化させ、メタンと水を排出するのと引きかえにATPをつくるようだ。
そのメカニズムは、ミトコンドリアのカラクリとそっくりで、エネルギー製造装置としてはこの子が最古・・・とは言わないまでも、開発特許により近いところにいることは間違いない。
さて、いよいよ時代をさかのぼりきり、深海底のチムニーに場所を戻す。
ここは、煙突の外に二酸化炭素の海、内側に水素まじりの熱水がドバドバ湧いてる、って環境なんだった。
微細な孔が空いたチムニーの中では、電流がビリビリ通り抜けててエネルギー供給がゆき渡り、系内のエントロピーは負の値を示す、極めて安定な状態。
数億年もの歳月をこの場所で過ごした彼は、物質を合成しまくって、ついに生命の素材をそろえたところだ。
そこで、ずっと思い描いてたメカニズムを構築してみよう、という気になった。
すなわち、自律して駆動・循環するエネルギーマシーンを、だ。
前置きが長かったが、ようやく生命機械制作プロジェクトが実質的に立ち上がる。
つづく




