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世界のつくりを説明する試み  作者: もりを
生命編
80/117

12・ミトコンドリア、って

12・ミトコンドリア、って


はるか後の世に現れる、ミトコンドリアの話をしたい。


このエネルギー精製マシーンさえ手に入れば、「動物」の稼働メカニズム(生命発生段階からしたらとてつもなく高度な熱力学の循環系)を簡潔に説明できるようになるからだ。


ちょっと前に触れたATPは、動物の体内で流通するオロナミンCみたいなもので、細胞はこれを受け取って分解することで活力を得て駆動を開始し、その活動の集積が実質的に動物全体を動かすんだった。


そんなATPをつくり出すのが、ミトコンドリアだ。


その構造とATP生成のプロセスは、ほぼ完全に化学的かつ自律的(つまり生気=タマシイを必要としない)で、なかなか興味深い。


ミトコンドリアは、太古の昔には独立した生物だったという出自から、いったんは動物に食べられたものの、その細胞内で生きながらえながら、宿主(食べられた相手)のためにエネルギーをつくっては供出し、しかも宿主の卵子にまで紛れ込んでその子孫の細胞内に自分の子孫を連綿と残すという、特異極まる生命体・・・いや、細胞内小器官だ。


というわけで、ミトコンドリアは前出のリン脂質からできた細胞膜に覆われ、水素イオン(陽子)を内外の濃度勾配を利用して取り込むことができる。


陽子がくぐるそのチャンネルに、ATPの材料と、酵素でできた歯車が巧妙に仕込まれてる。


そして、陽子がこの弁を通り抜ける際に、酵素が水車のように(言葉通りに)回転し、ATPがころりと組み上がって生み出されるカラクリになってるんである。


こうしてできたATPは、オロナミンCとして動物の体内全域に出荷され、供給を受けた細胞を活動させる。


これが、現代におけるわれわれの体内で行われてるエネルギー自給システムだ。


さて、ミトコンドリアにこのエネルギー生成をさせるには、さらに先立つエネルギーである酸素が必要だ。


動物の酸素呼吸とは、突き詰めれば、このミトコンドリアのメカニズムを働かせるためのやつなのだ。


そして、酸素ほど燃焼(エネルギー変換)効率のいい素材はない。


ところが、われわれが生命を組み立てようとしてる時代の深海底に、酸素はないんだった。


つづく

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