8・生命のパーツ、って
8・生命のパーツ、って
有機物から単純なアミノ酸ができたとしても、開かれた系において、それらが何十~何千も規則通りに連なって偶然にタンパク質を形成する・・・なんてことはあり得なそうに思える。
アミノ酸を並べていく順序は、まさに現代の生物がDNAにコードする、高度で複雑な遺伝情報だ。
だけど、数億年という、一生命にとっては無限とも感じられるほどの途方もない時間をかけ、おびただしい試みを積み重ねつづければ、できないことはない。
・・・と考えるしかないし、彼は実際にそれをやり遂げたはずなのだ、逆算すれば。
そんなわけで、数億年という歳月が流れた。
自然の摂理が及ぼす数々の偶然が積もりに積もった結果、チムニー内のおびただしい微細孔の中に、これまたおびただしい種類のタンパク質がため込まれたとしようではないか。
そのタンパク質が、なおも合体に合体を重ね、さらに複雑な物質を発明していったとしようではないか。
無限の時間の中での偶然は、必然でもあるんだから(長時間をかけると、可能性があることは必ず起きる)。
そもそも、元素の構造なんて、原子核の周囲の電子の配置とイオンの力で、パチンパチンときれいに噛み合うパズルの形にできてるわけだから、それが起きない方がおかしいし。
つまり、へこみがあれば、出っ張りがジョイントするのは当たり前のことなんだ。
例えばここに、ある種の糖と、リン酸、塩基という三種類の物質が生成され、たまたま出会う機会を得たとする。
この糖、リン酸、塩基の三つが横一列に合体すると、ヌクレオチドというパーツになる。
糖とつながったリン酸は別の糖とつながり合え、その糖はまた別のリン酸とつながり合える。
塩基はというと、ある特定の別種の塩基とで「くっつきやすくて離れやすい」便利な水素結合ができる。
このヌクレオチドの形状は、まさに三次元パズルそのもので、上記した要領で、同様な形状の別ヌクレオチドと縦方向に組み合える。
少しずつ角度をつけながら、縦一列に長くつながるヌクレオチドの団体さんは、らせん形の鎖を構築する。
これがRNAだ。
さらに、糖・リン酸・糖・リン酸・・・の接続部の逆サイドに並んだ塩基が、別ヌクレオチドの塩基部分と水素結合をしていけば、もう一本のらせん鎖をつくることができる。
縦方向に並んだ塩基の配列とぴたり噛み合う、相方塩基の配列・・・このふたつがつくるのはもちろん、かの有名なあの形だ。
世にも美しい、二重らせん!
おおっ、つらつらと必然を並べ立ててるうちに、なんとDNAができちゃったぞ。
こう考えると、生命のメカニズムもまた、自然の力だけでつくれてしまいそうに思えてくるではないか。
つづく




