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世界のつくりを説明する試み  作者: もりを
生命編
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7・生命機構の生まれる環境、って

7・生命機構の生まれる環境、って


チムニーの外側には二酸化炭素の海、チムニーの内側には地底から噴出する水素の温水。


そのふたつの間には、pHペーハーの差がある。


酸性とアルカリ性というやつだけど、実はこれって、分子が持つ電子が多いか少ないかの問題なのね。


陽子勾配(イオンによる電位差)というんだけど、浸透圧みたいなもので、電子は持て余し気味のエリアから足りないエリアに向かって移動する。


つまり、チムニーの外・内には、電気を送る・受けるのポテンシャルが生じてて、二酸化炭素の海から水素の温水に向かって電流が通り抜けるんだ。


さらにすごいことに、この硫黄と鉄化合物からできたチムニーときたら、はからずも「半導体」という、言わば電流のスイッチをオン・オフにできる機能を持つ素材なんだ。


生物ってのは、突き詰めれば、タンパク質を電気で動かす装置だろ。


だとしたら、このチムニーで、生命の原始的なメカニズムをつくり出せそうだとは思わないか?


つわけで、ここまでの話をひとまずくくってみよう。


深海底に、半導体として機能してくれるエネルギーみちみちの塔が立ってて、その中にはたくさんの小部屋が用意されてる。


小部屋は厳密に閉じた系とは言えず、環境に対してオープンだ。


その一室に単純な分子がたまっていき、最もシンプルな有機物となる。


部屋の内外にはふんだんな電流が流れてて、そいつを受け取ることでエントロピーの「減少」が実現し、つまり有機物は分解一辺倒でなく、不可逆とされるはずの成長がうながされる。


有機物たちは電子の媒介で結び合い、合体して、やがて偶然にもアミノ酸の形になり、お互いにくっつき合って長い長い高分子になり、ついにタンパク質になり、脂質になり、ヌクレオチドなんて集団単位にまで発達してくれるかもしれないね。


・・・ちょっと偶然がつづきすぎか?


だけど、こんな実験の失敗と成功とフィードバックを毎日毎日、何億年も繰り返してたんだよ、この場所で、「彼」は。


だったらできないわけがない、とも思わないか?


つづく

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