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世界のつくりを説明する試み  作者: もりを
天体編
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5・平衡宇宙、って

5・平衡宇宙、って


何度も言うけど、ぼくらには、量子の振る舞い(現実の世界)は「人類の感覚と神経系が独自に解釈する画づら」、すなわち自分の脳内につくりだすオリジナル世界の範囲でしか理解できない。


ぼくらの外側(ぼくらの肉体も含めた)には、実体のない「場」があるばかりなのに、ぼくらの生物としての身体機能(を総合する脳)はそこに三次元空間を立ち上げ、素粒子というつぶつぶを見出して・・・というよりは、想定してるだけだ。


まあ主観的で一方的な事実として、ぼくらはそこに色と形と手触りを感じてるんだからなんの問題もないわけだけど、そのバックヤードが「無」であることは、風景想起の根底に納めておこう。


さて、ビッグバン後の宇宙空間がひろがってきた。


そこには波動関数が規則正しく波打ち、のちの人類が観測するところの陽子(水素原子核)が完全に等間隔な隊伍を組んで展開してる。


慣性の法則によれば、動きはじめたものは動き出した方角に向かって等速直線で永遠に動きつづける。


つまり陽子の隊伍がそのまま放射状に行進をつづければ、世界は陽子を正確な三次元方眼状に並べた平衡状態を保ったままひろがっていくはずだった。


そして、物質の誕生はおろか、わずかな変化をも含めた何事も起こり得ないはずだった。


が、慣性の法則には、ただし書きがある。


「他から力を加えられないかぎり」という。


その「他からの力」というのが、万有引力だ。


陽子は、小さいながらも質量を持ってるのだ。


とは言え、「質量を持つもの同士は引き寄せ合う」というこの法則は、パーフェクトな平衡状態においては、力を相殺されてしまう。


個別の陽子は、全方向から等しい万有引力の効果を求められており、奇しくもニュートンさんが第三法則に組み込んだ「作用と反作用」が完全な形で機能したかのように、陽子の隊伍は平衡状態に固定されてしまうわけだ。※1


ところが、量子場は確率の存在であり、永久不変を許さないゆらぎまくりの性質を持ってるんだった。


つづく


※1 相対性理論によれば、宇宙はがんじがらめな平衡状態を維持できず、素粒子間の引力が宇宙の膨張を収縮へと逆転させ、やがてビッグバン時の特異点に収斂しゅうれんさせる「ビッグクランチ」に向かうはずだ。※2


※2 が、「平衡じゃない宇宙なんていやだ!」とアインシュタインさんは考え、重力理論の計算式に宇宙定数というものを組み込んだが、宇宙膨張の証拠を突きつけられて「しまった、余計なことをした」と悔やんだんだった。※3


※3 が、最新の宇宙空間加速膨張の観測と、当時知り得なかった宇宙中にひろがるダークな質量の存在が明らかとなり、「アインシュタインの宇宙定数、ファインプレイじゃね?」という空気になってるようだ。

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