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ぱんけーきイズでっど  作者: アラタオワリ
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# 新しい終わり(1)

 ヒミは思った。最上級の仮想世界は「ふわっふわっ」なパンケーキの上を絶妙な跳ね返しで舞うように歩いている様なのだと。顔には感情が漏れていたようだ。

「気持ちいいでしょ。あの時のパンケーキみたいに」

KZに言われて恥ずかしかったのかヒミは少し意地悪に言い返す。

「この世界ではスイーツがそんなに重要なの? 」

「え? 」

KZの言葉は不機嫌というよりもどこか寂しさが漂う音色であった。

「君には言われたくないかも・・・・」

期待を裏切られた切ない思いを隠すように、僅かながら先を歩いていく背中は小さい頃の蜂谷風そのままに思えた。

「あ、なんかすまん。・・・・ごめん」

その一言で気が晴れたように振り向くとKZは手を差し出した。

「何⁈ フウ。生意気なことするな」

「あっそう。じゃあいいや」

「噓だよ」

ヒミは恥ずかしさを隠すようにグイっと少し乱暴に手を握る。

「思い出したよ・・・・この感じ。

僕がいじめられていると、君は相手が男の子だろうが、回し蹴りで蹴散らしてくれて、こんな感じで引っ張って家まで送り届けてくれたんだ」

ヒミは照れ臭くなって大げさに背伸びをして塔を眺めた。その動きに反応したかのように複数の目が不規則に重い光を発した。

「え、何匹いるの?

1匹じゃないやん」

無数の蛇が薔薇の棘に身を裂かれながら、流れ出た血を改めて舐めるように飲み込み胴体を太く成長している。そして、呼応するかのように白いKZの肌が絹の如き品格ある艶を得ていく。

KZは手のひらを塔にかざしてみせた。

「僕にとって記憶が大切なんだ。スイーツの力と絡み合いながら魂を包むこの世界においては血液みたいなもの」

不意に繁華街のようなざわめく騒音が響いた。パトカーのサイレンがサークルを描くように少しずつ遠ざかっていく。ヒミは何気に聞いた。

「この世界でも極悪な犯罪は起きるのかしら」

「無いよ。ゲーム区画とか、ある目的の為にあえて組み込んでいる場合以外はね。ただ、外部から潜入してくる悪い奴はいるからね。コンピューターウイルスは、インターネットと繋がっている限り日常茶飯事だしね。ここまでは来ないけども、外側のエリアではよくあるよ」

「スゴイAIが管理しているんだね」

「AIじゃないよ」

「どういうこと」

KZは天を仰いで首を傾げ沈黙した。


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