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ぱんけーきイズでっど  作者: アラタオワリ
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第6章  DAY:LOVE COME # スカイ・ヴィヴィアンヌ・ホテル(1)

 「此処は・・・・」

妃美香は指示されたホテルに着いた筈であったが、ハイブランドの商業施設やカフェしか見当たらなかった。JKはいないし、ステージ衣装の派手なフリフリを、アウターの下からとはいえ、チラチラさせている人種などは皆無だ。

「マジかよ。嫌な予感が満載やん」

妃美香は行ったり来たりを数回繰り返しやっと、少し奥のエレベーター乗り場の上に案内プレートを見つけた。

「危なっ、見過ごすとこじゃん。

スカイ・ヴィヴィアンヌ・ホテル見つけたぞ、ふう」

到着を知らせる光が点灯した。彼女はエレベーターへとダッシュして、ドアが開いた瞬間に飛び乗った。素早く【閉】を押し、ようやく箱の中での孤独に心休めることが出来た。

「こんなにもひとりが落ち着くとは。さて、57階よね。

え?

なんで?」

30階までの表示ボタンしかなかった。

「どういうことよ。えーと、30階にフロントがあるのか。やっぱり誰にも会わずには行けないのかよ。

難関にも程が有るってんだ、クソっ」

ドアが開いた。正面には全面ガラスの向こうに都心を見渡せるカフェ&バーが在り、成功者の大人たちが楽しい時間を過ごしている様子が目に入った。

「場違いだ。死ぬ。本当にクソ祭りだ。息あるうちにフロントへたどり着けるんかな。

ハアハアハア」

なんとなく一度降りたエレベーター側を振り向くと、乗降口の横に広い通路が奥へと伸びていて、人の流れも目に入った。

「あああああ、光が射してきたぞ・・・・ファッキンなめんなよ」

彼女は自ら発破を掛けて進撃していく。

ふと、左手を見ると少し低いエリアが、レストランになっていて、遅い時間ながらも静かに食事をとるカップルが目に入った。

「地獄だな・・・・なんか。

この世界線の人間の日常はウチとは違いすぎる。

あああああ、フロントはどこだよ。

遠いよ。もう死なせてくれ。おや、あったかも・・・・ヒミちゃん天才。

マズイ、フロントの人と目が合っちまったよ」

「お疲れ様です。こちらへどうぞ」

妃美香は絶望した。

「ゲロゲリ。これじゃあ、無視して行けないじゃん」

悲しみとも喜びとも判別のつかない虚無の中、最後の力を振り絞るように部屋番号を伝えた。

「5700号室・・・・」

女性従業員は穏やかな笑顔で迎えているように見えたが、緊張感がさっとフロント内に張り詰める。

「お客様のお名前をお聞かせ願えますか」

「ヒミです」

女性スタッフは直ぐに5700号室に連絡を取った。確認が取れたのか一瞬にして柔和な表情を取り戻して、VIP専用エレベーターまで一緒について来た。奥から一人の男性が加わり、エレベーターのドアが閉まるまで深々とお辞儀をしていたのであった。

「後から現れたイケオジ、名札が支配人ってなってた・・・・怖っ」

そして、不意にリーダーの顔が浮かんできて説教されるのであった。

「ほら、騙されたのよ。だから、言ったでしょ」

面識もない人間を信じてよかったのか、エレベーターの階数の表示を見ながら今更ながら不安が増す。その上、声しか聴いたことのない者の言いなりになって、幼馴染を誘拐事件の被害者にしてしまったのかもしれなかった。

「ウチも誘拐犯の一味じゃん」

様々な妄想と超スピードで上昇するエレベーターの合わせ技で妃美香はえずいてしまう。

「おぅえっ」

― ゴクリ ―

「危なっ。出るかと思った」

彼女は階数表示の数字が40階を示したのを見て、別の階を押せば今なら戻れると考えたのも束の間、ボタンのない階数に突入し、程なくスピードが緩まると最上階に到着した。


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