まさか!
移動中のお話です。
場の雰囲気がなんとも荒れてきたところで、ジリムさんが、
「では、みなさま、馬車まで、さっさと歩いてください。他に観光ができなくなりますから」
と、淡々と言い放った。
ほんとに、ジリムさん、面倒をかけてすみません。
少しの距離でも、全然すすまないもんね…。
ということで、イーリンさんの腕をとり、
「次の観光へ行くよ!」
と、ジリムさんに続いて、ぐいぐい歩き出した。
すると、ユーリが、イーリンさんとは逆の私の隣へとぴったりひっついて、歩き始める。
その後ろには、バッグを持った小鬼がついてくる。
そして、一人だけ、少し離れて、甘い微笑みを浮かべながら歩くデュラン王子。
改めて、変な一団だよね…。
馬車に到着すると、
「では、乗って来た時と同じ席に、速やかに座ってください」
と、ジリムさん。
わがまま放題の子どもたちを、引率する先生みたいだね…。
ジリムさんの圧のおかげで、皆、文句も言わず、スムーズに馬車に乗る。
そして、馬車が動き出した。
「次は、どこへ行くの?」
と、デュラン王子が、ジリムさんに聞いた。
「ドラゴン保護センターです」
「え?! ドラゴン?! まさか、この国、ドラゴンがいるのっ?!」
びっくりしすぎて、私は、思わず叫んでしまった。
だって、あのドラゴンだよ?! 物語とかにでてくる、あのドラゴンだよ?!
まさか、ドラゴンという名の、トカゲとかではないよね?!
ジリムさんは、表情を変えることなく、
「いますよ。数は少なくなってはいますが、ブルージュ国にはまだいます。
今から行く保護センターには、ケガをして療養しているドラゴンと、親とはぐれた小さなドラゴンの2匹が保護されています」
と、淡々と説明した。
そこで、
「まあ、珍しい生きものだけど、そんなに、驚くことか? 変な奴だな…」
と、ランディ王子。
いやいや、頭にツノをつけた人に、変だとは言われたくないけどね。
「ちょっと、ユーリ! ブルージュ国にドラゴンがいるの知ってた?」
と、思わず、隣を向いてつめよる。
ユーリは、
「もちろん、知ってるよ。まあ、子どもでも知ってる常識かな? …って、アデルは知らなかったんだね? やっぱり、ばかかわいいな。癒される」
と言うや否や、私の頭をなで、とろけるような笑みを見せた。
ばかかわいいとか、今はどうでもいい。そんなことより、ドラゴンよ!
前世での常識をひきずってたのか、ドラゴンは、想像上の生きもので、まさか、この世界に、生きたドラゴンがいるとは、思いもよらなかった。ほんと、衝撃だわ…。
そして、そんなことを考えている間も、ユーリは、甘ったるい笑みをうかべたまま、私の頭をなでている。
そこで、ランディ王子が、
「うらやましい。 俺もなでて欲しい…」
と、つぶやいた。
そんな、うらやましがられることではないよ?
それに、その頭じゃ、ツノが邪魔で、なでられないんでは?
と、思ってたら、いきなり、ランディ王子が、真向かいに座るユーリの方へ、前のめりで、頭をつきだした。
が、ユーリは、そちらを見もしない。私の頭をなでつづけている。
仕方がないわね…。
私は手をのばして、ユーリのかわりに、斜め前にすわるランディ王子のツノをなでてあげた。
ジリムさんが、
「奇妙な三角形だな…。ランディ王子が、次期公爵様に頭をつきだし、その時期公爵様は、アデル王女様の頭をなで続け、アデル王女様は、ランディ王子の頭をなでる…。なんだ、これ? おかしいだろ?」
と、あきれた顔でつぶやいた。
すると、頭をつきだしていたランディ王子が、
「こら、アデル! 俺に触んな! 俺はユーリさんに、なでて欲しいんだ!」
と、文句を言った。
そのとたん、ユーリが、
「アデルに触られただけでも、腹立たしいのに、なんて言いぐさなの? 仕方ないね」
そう言うと、ランディ王子の頭に手をかざして、一瞬にして、残っていた氷の柱を消しさった。
今や、溶けた柱のせいで、ランディ王子の髪がびしょぬれだ。
が、ランディ王子は、髪が濡れたことよりも、頭をさわって、氷の柱がないことを確認したら、
「あー!! ユーリさんの魔力が消えた…。嫌だ、もったいない!」
と、わめきだした。
いやいや、変なツノが消されて、良かったのでは?!
不定期な更新ですみません。現在、集中力がない状態ですので、誤字脱字ありましたら、すみません…。読みづらいところも沢山あると思いますが、読んでくださっている方、ありがとうございます!そして、ブックマーク、評価、いいねをくださった方、励みになります。本当にありがとうございます!




