小競り合い
晩餐会つづいてます…。
ユーリの宣言どおり、ひときわ寒くなった私たちのテーブル。
王妃様は、また係の人を呼んで、空調について言っている。
係の人は、
「しかし、このテーブル付近だけなんです、寒いのは…」
と、困ったように答えた。
ほんと、すみません…。
うちの魔王が、こちらにピンポイントで送風してますから。
でも、気づいたことがある。王様も、デュラン王子もユーリの魔力を気にもとめていない。
が、王妃様と王太子様は寒がっている。そして、二人よりは若干ましなものの、やっぱり寒い私。
あ、これって、多分、魔力の多さじゃないかしら。
デュラン王子は相当な魔力量。王様も同じ魔力が使えると言っていたので、多いのだと思う。
おそらく、王妃様と王太子様は魔力が少ないか、あるいはまったくないのかも。
私は魔力が多少あるから、ましなのかしらね。
ということで、ユーリ!
ターゲットは王様とデュラン王子だろうけれど、違う人たちに被害がでてるわよ!
ユーリをにらみつけ、
「やめなさい」
と、クチパクで伝える。
すると、ユーリは、
「それと、話さないで」
すぐに、クチパクでかえしてきた。
「それって、なに?」
私がクチパクで聞く。
「そのクソ王子」
と、クチパクで答えるユーリ。
こらっ、なんてことを言うの!! しかも、食事中よ?!
普段、汚い言葉を使わないのに、ユーリどうしたのかしら?
もしかして、普段と違う場所にきて、変になってるとか? 困ったものだわね。
私がにらみつけると、ユーリがなぜか楽しそうに笑った。
ふと見ると、ランディ王子がそんなユーリをおびえた目で見ている。
ごめんなさいね。同じテーブルにうちの魔王がいて…。
すると、デュラン王子が、
「アディー、向こうが気になる? 大丈夫だよ。ほうっておこうね。あ、そうだ。話の途中になってたよね。ほら、これのこと」
そう言って、お料理にあるパープルの花を手でしめした。
えっと、そうだったわ。
この花の話をしていたのに、王様が変なことを言い、ユーリが宣戦布告をしに来たんだった…。
「魔法の花って呼ばれてるんでしたっけ?」
と、記憶を巻き戻して聞いてみる。
「ううん。花はモリスって呼ばれてる。でも、その言葉の意味が、古代語で魔法の花って言うんだよ」
あっ、そうだった。
「昔ね、この国で大飢饉があったんだ。食べるものが何もない時、この花がいたるところで、咲きはじめた。食べてみたら、美味しく、しかも栄養もあることがわかった。この花のおかげで、生き延びられた人が大勢いたそうだ」
私は、
「確かに、魔法の花だわ。しかも、栄養もあるなんて、すごい!」
と、尊敬のまなざしでパープルの花を見た。
美味しくて、栄養もあって、しかもきれい。お料理に入ってたら、すごく華やぐわよね。
しかも、甘いもの好きとしては、是非、デザートにも使ってもらいたい!
「このお花、うちの国に輸出できないのかしら?」
思わず、聞いてみた。
「それがね、この花は一日しかもたないから、輸出できないし、他の国に植えてもなぜか咲かないんだよ。不思議でしょ」
と、デュラン王子が意味ありげに微笑んだ。
確かに、不思議な花ね。
…ん? 花から、デュラン王子の瞳に目を移し、また花に目を戻す。
同じ色じゃない?!
デュラン王子は、フフッと笑った。
「気がついた? そう、ぼくたち王族のこの紫色の瞳。モリスの瞳って言われてるんだよ」
スミレ色かと思ったけれど、モリスという花と比べたら、驚くほど、全く同じ色だわね。
見れば見るほど、きれいな色。
「ほんと、素敵な色!」
「この色、好き?」
「ええ、だってきれいだもの!」
私が答えると、デュラン王子がとろけるように微笑みかけてきた。
「アディーが好きだなんて言ってくれて、嬉しいよ」
と、デュラン王子。 なぜか、そこだけ声が大きくなった。
ひゃっ! 思わず、肩掛けがひるがえるほどの風がふきつけてきた。
「涼しくて、ちょうどいいね」
デュラン王子は、私にむかって微笑んでくる。
いやいや、ちっともよくないわよ。
ほら、王妃様と王太子様が、ふるえてる!
魔王たちの小競り合いに、まきこまないで!
2日ほど投稿できず、更新が遅くなりました。本当に、不定期ですみません。誤字脱字、読みづらい点などあろうかと思いますが、読んでくださっている方ありがとうございます。ブックマーク、評価、いいねをくださった方、励みにさせていただいています。本当にありがとうございます!




