なんでユーリが決めるの?
晩餐会前の色々が続きます。
ユーリが淹れてくれたお茶を飲む。
「とっても美味しいよ! すごいね、ユーリ」
と、私が感心して言うと、ユーリは、嬉しそうに微笑んだ。
「良かった。結婚したら、ずーっと一緒だから、毎日、ぼくがアデルのためにお茶を淹れようかな。アデルはぼくの淹れたお茶しか飲めないの。いいと思わない?」
「ん? ユーリ以外の人が淹れたお茶が飲めないってこと?」
ユーリは、当たり前のように言った。
「もちろんだよ。素敵でしょ」
ええっ?! それって、おかしいわよね? 素敵じゃないわよね? 怖いわよね?
美味しいお茶でほだされてはいけないわ、私!
やはり、ユーリとの結婚は、絶対阻止しないと!
だって、お茶もユーリからしか飲めなくなるなんて、ユーリが留守なら、ひからびるじゃない!
ほんとに、魔王の考えは理解できなくて、危険だわね…。
「ところで、アン」
いきなり、ユーリに話しかけられて、目に見えるほど、びくっとするアン。
やっぱり、さっきの話を聞いて、アンも怖がってたのね…。
「…なんでしょうか。次期公爵様…」
と言いつつ、目をそらしている。
が、ユーリは気にすることもなく、
「アデルの晩餐会のドレスを見せて」
と、言った。
アンは、二つのドレスを持ってきて、衣装かけにかけた。
「どちらもとてもお似合いなので、とちらでもよろしいかと思うのですが…」
ひとつは、繊細なレースがきれいな、少し大人びたライラック色のドレス。
もうひとつは、パールが刺繍された、甘い雰囲気の水色のドレス。
ユーリは、ふたつを見た瞬間、
「水色のドレスにして」
と言った。
即決すぎる。
「でも、なんでユーリが決めるの? いつも、私の衣装に何も言わないじゃない」
と、私が聞くと、
「今回の訪問は、ぼくが責任者だから。アデルのすみずみまで、全部、管理させてもらうからね」
と、ユーリ。
なんだか、ぞわっとするんだけど…。
私のすみずみまで、全部? 表現がおかしすぎて、文の意味がわからないわね。
ほら、アンの顔を見て! 表情が抜け落ちてるわ…。
ま、気を取り直して…、
「なんで、水色のドレスがいいの?」
と、私は聞いてみた。
「この国で、アデルの最初の登場だから、色々わからさないとね」
ん? 聞いた私が、まるで、わからない文章なんだけど。
「あ、それと。ぼくのあげたチョーカー持ってきたよね?」
ああ、あの首輪ね。
持ってきてるけど。ユーリに言われたから。
私はうなずいた。
「なら、今日は、それをつけてね」
ここで、アンが、
「一応、ドレスにあわせて、パールのネックレスも持ってきていますが…」
と言いかけて、ひっと、息をのんだ。
ユーリが、それはそれは美しい笑みを浮かべたからだ。
こういう時、こわいよね…。わかるわよ、アン。
大丈夫、私、こんなユーリに慣れてるから。守るわね、アン!
「ちょっと、なに、ユーリ? アンを威圧したらダメでしょ?」
と、私は、ユーリの前に立ちはだかった。
すると、ユーリはにっこり微笑んで言った。
「威圧なんかしてないよ。ただ、ぼくの贈った最上級のアクセサリーより、パールのネックレスがいいなんて、どの口が言ってるんだろうと思ってね」
怖い、怖い、怖いよ!
アンが、震えてる。
ごめんね、アン。これが通常運転なの。魔王だから。
「そんなこと、誰も言ってないでしょ。わかった、ユーリのアクセサリーをつけるわ」
はっきり言って、私としては、チョーカーだろうが、首輪だろうが、アクセサリーはなんでもいい。
とにかく、この場をおさめないと。
「あ、それとね、そのライラック色のドレスは、今回の旅では着ないでね」
「えっと、なんで? 私、このドレス、好きなんだけど。あ、もしかして、似合ってない?」
と、私が聞くと、
「まさか! 似合いすぎて、他のやつに見せたくないくらいだよ。でも、そんなことじゃなくて、今回はその色がダメ」
と、ユーリが答えた。
色? このきれいなライラック色が? どこがダメなんだろう…。
「なんで、この色がダメなの? 理由がわからないんだけど」
と、納得がいかない私は更に聞いてみた。
「そのライラックの色、誰かの瞳の色に似てるよね。アデルが、そのドレスを着て、あの王子と並んだりしたら、ぼく、思わず、この王宮を破壊してしまうかもしれないでしょ。だから、着ないでね」
と、甘く微笑んだ。
いやいや、表情と会話の中身があってないんですが!
ドレスの色は、デュラン王子の瞳の色と同じ系統の色ではあるけれど、でも、王宮を破壊?
どうして、ドレスの話なのに、そんな物騒なことになるの?!
今回は、ユーリのヤンデレで終わってしまいました…。次回は、晩餐会です。誤字脱字ありましたら、すみません。読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださった方、本当にありがとうございます!




