事情、わかりました
ランディ王子についての色々、続きます。
「ランディ、何やってるの?」
と、穏やかな声がした。見ると、王太子様だ。お付きの人たちと一緒にいる。
「べつに…」
そう言うと、突然、あんなにうるさかったランディ王子がだまった。
大人しくなったというよりは、何もしゃべらない。
うーん、デュラン王子につっかかっていくのもどうかと思うけれど、王太子様に対する態度も良いとはいえないわね。やっぱり、何か、こじらせてる感じよね…。
「じゃあ、俺はこれで」
そうつぶやくと、ランディ王子はあっと言う間に消え去った。
足が、すごい速い! なんか、うらやましいわ!
なんて、思ってる場合じゃないわね。
残された私たちの微妙な空気…。
すると、さすがは王太子様。まず、口を開いた。
「アデル王女、そして、婚約者のロンバルト殿も、ランディが失礼をしたみたいで、すまないね」
申し訳なさそうに謝った。
「いえいえ、お気になさらないでください」
私はあわてて言った。
王太子様に謝っていただくのは、こちらのほうが申し訳ないわ。
ええと、何か王女らしい、フォローでもしたほうがいいわよね?
「ランディ王子も、難しいお年頃なんでしょう。あれぐらい、かわいらしいものですよ。ホホホ」
デュラン王子が、プハッとふきだし、ジリムさんも、ひっそりと笑っている。
あれ? 何かダメだったかしら?
隣にいたユーリが、
「アデル、どこかの、おばさんみたいだよ…。でも、ばかかわいい」
と、ささやいた。
私も思わず、小声で言い返す。
「ユーリ、前から言おうと思ってたのだけれど、ばかと、かわいいはセットではないのよ? 知らなかった?」
それを聞いて、
「やっぱり、ばかかわいい」
と、ユーリが、私を甘く見つめながら繰り返す。
なるほど。ユーリはもう、ばかとかわいいは、ひっついて覚えてしまってるのね。
じゃあ、仕方ないわね。
…って、そんな、どうでもいいことよりも、ランディ王子のことよ!
勢いこんで王太子様を見ると、ふーっと小さくため息をついて、話し始めた。
「アデル王女は、わが王家に伝わる、目に見える魔力と言うものがあるのを知っているかな?」
あ、あのデュラン王子の手のひらからでていた、青白いきれいな魔力のことね!
私は、うなずいた。
「ランディは、今では、王とデュランだけが使える、その目に見える魔力に強い憧れがあってね。ぼくも兄様みたいになりたいって、小さい頃から少ない魔力を伸ばす努力をしていた。デュランの魔力が出始めたのが、10歳頃だったしね。が、ランディには現れなかった。それで、本人もあきらめたのか、魔力の訓練もやめ、投げやりな態度をするようになったんだよ。一時的なものかとも思ったが、もう3年くらいたつかな。特に、デュランには憧れていた分、複雑な心境なんだろうね」
と、スミレ色の瞳をくもらせ、だまった。
そこで、デュラン王子がひきついだ。
「魔力が目に見えること自体、重要でもなんでもない。ただ、王家に伝わる珍しさだけ。大事なのは、魔力があるなら、それをどう磨き、どう使うかだろう? それを何度も説明したんだけど、わかってもらえないんだよね。自分が魔力が強いから、ないものの気持ちなんてわからないって言ってね」
「デューはランディ王子に甘すぎる。ないものを欲しがるより、自分の持っているものを磨け!と、ガツンと言ってやればいいのに。俺がかわりに言ってやろうか。まどろっこしい…」
と、ジリムさんが呪詛のように、ぶつぶつと言っている。
疲れ果てているわね。目の下のクマが、すごい迫力をかもしだしているもの…。
うーん、どうにかならないかしらね…。
あ! ひらめいた。
思わず、ユーリのほうを見ると、
「なんか、アデルのその顔。ろくでもないことを考えてる気がするんだけど…」
と、ユーリがつぶやいた。
失礼ね! 自分でもいうのもなんだけど、結構いいアイデアだと思うのよね。フフフフ。
ダメ元でやってみる価値はあるんじゃないかしら?!
廊下から、なかなか、移動できません…。暑さのため、もともと不足している集中力が、更に減っております。誤字脱字ありましたら、すみません。読みづらい点も多いと思いますが、読んでくださっている方、ありがとうございます。そして、ブックマーク、評価、いいねをくださった方、本当にありがとうございます。励みにして、書いております!




