やはりね
ランチ、食べ終わりましたが、続きからです。
泣きながら食べたけれど、前世ぶりの羊羹は、最高だったわ。
がっつりした甘さにパワーがみなぎる。
前世では、小豆が邪気を払うと聞いたような記憶があるけれど、本当にそうかも!
なんだか、とってもすっきりしたわ!
と、ここでお店の経営者の方が挨拶にこられた。…が、これまたびっくり!
艶のある黒髪をきれいにまとめ、品のある顔立ちの若い男性なのだけれど、着ているのが、まさに浴衣だもの!
もう、なんらか日本が関係していることは間違いないわ! これは気になる! 色々聞きたい!
が、はやる気持ちをおさえて、ここは王女らしく、
「大変美味しくいただきました。ありがとうございます」
と、優雅にほほえんだ。
まあ、泣きすぎて、目があんまりあかないけれどね…。
そして、デュラン王子、肩がふるえてます。笑いたければ笑っていいのよ?
お店の方が、
「そう言っていただけて、光栄です。私はこの店を経営者で、コメドコロと申します」
コメドコロですって?!
「珍しいお名前ですけど、この国では多いのかしら?」
「いえ、この国でも、この姓は、わが家系だけです。その先祖からの言い伝えがありまして」
「聞きたい!…いえ、とても興味がありますので、是非、聞かせてください」
思わず素がでそうになって、あわてて、言いなおす。
「実は私の先祖は、迷い人だったらしいのです」
「迷い人? それ、なに?!」
すると、ここで、ジリムさんが説明してくれた。
「わが国では、異世界から来たとしか思えない人を迷い人と言います。もはや、伝説となっており、真偽はわかりませんが」
「ということは、コメドコロさんのご先祖様は、異世界から来られたとういうことね!」
コメドコロさんは、優し気な微笑みをうかべ、うなずいた。
「そう聞いております。迷い込んだとき、記憶がなく、覚えていたのは、コメドコロという言葉と、いくつかの料理のレシピだけだったようです。そのため、コメドコロを姓にして、覚えている料理を作ってみたら評判になり、このお店を開いた、というのが我が家の言い伝えです」
「それが、これらの料理ね! なんていう料理なの?」
「米料理のほうが、ズーシ、そして、デザートがヨーコンです」
おしいっ!! 本当は、スシとヨーカンよね!
長い年月をかけて、ちょっと変わってしまったのかしら。
指摘したくてムズムズするわ…
とりあえず、もうひとつ、気になってること、
「じゃあ、その衣装も何かいわれがあるのかしら?」
と、聞いてみた。
コメドコロさんは、大きくうなずいた。
「その通りです。この店の衣装は、この世界に迷いこんだ時、先祖が着ていたといわれる衣装を模して作っております」
なるほど、やはりね。
「よくお似合いです」
と、私が心からの気持ちを言うと、コメドコロさんは頬をほんのり赤くした。
本当に浴衣の似合うきれいな方だもんね。
だが、こっちもおしい!
それ、左前だから。前世なら死に装束だよ。
…言えないけどね。
が、お寿司も羊羹も食べれて本当に良かったわ。
遠い昔、迷い込まれた日本人の方、おかげさまで、私、満たされました!
ありがとう! 日本食、バンザイです。
「料理はズーシだけの専門店なのですが、デザートは他にも先祖伝来の菓子がありますので、また、是非おいでください」
「来ます! 絶対食べたいわ!」
思わず、即答してしまった。仕方ない。魂の叫びだもの。
コメドコロさんは、一瞬あっけにとられてたけど、すぐに、ふわりと花がほころぶように微笑んだ。
ひだまりのような、おだやかな笑み。まるで花の精みたいよね。
なごむわ…と、ちょっと見とれていたら、
「アデル、どこ見てるの」
と、隣から冷やっとする声が。
おそるおそる隣をみると、極寒の眼差し。まさに冬の魔王。
温暖差がすごいわね…。
そろそろ王宮へむかいたいところです。誤字脱字、よみづらいところもあると思いますが、読んでくださっている方、本当にありがとうございます!




