まきこまないで by マルク
遅くなりましたが、今日、2回目の投稿になります。
せまい、馬車の中。
できるだけ、見ないよう、聞かないようにしても、見えるし、聞こえる…。
デュラン王子は、やっぱり、かなりアデルを気に入ってるよう。
「アディー」とか呼びはじめ、面倒なことになってきた。
ユーリ兄様のアデル三原則が、全部やぶられてるかと思うと、ふるえがとまらない。
この馬車に、ぼくはのってない…のってない…のってない…、と暗示をかける。
なのに、アデル! ぼくをまきこまないで!
短い距離なのに、更にげっそりとして、馬車をおりた。
と、そこへ、王太子の専属護衛騎士のロイドさんがやってきた。
見目はよく、頭脳明晰、腕もすごいのに…なんだろう、この残念な感じ。
ユーリ兄様と方向性は全然ちがうけれど、ややこしい人なんだよね。
アデル至上主義というか、過保護が度を超しているというか…。
基本は簡単。アデルに害をなすものは敵。ぼくは無害に分類されているらしく、ごく普通の対応だ。
ユーリ兄様のファンの女性たちは、アデルの悪口を言うから、高位貴族の御令嬢であっても、もはや害虫を退治するかのように、おっぱらっている。
そして、なんといっても、婚約者のユーリ兄様は有害中の有害、もはや天敵だ。
騎士の中でもとびぬけていて、このままいけば、騎士団のトップになれるんだろうけれど、目指すのは、アデルの専属護衛騎士、一択。
で、それを全力で邪魔しているのが、ユーリ兄様…。
今のところ、ユーリ兄様の裏工作が優位にたち、ロイドさんは、ずーっと王太子の専属護衛騎士のままだ。
あ、まだ来てすぐなのに、ロイドさんの過保護が発動してしまった。
ほら、早速、アデルを自分の保護下におき、歩き出す。
どう見ても、歩きにくいよね、あれ…。変だし…。
しかも、どっかから、日傘もだしたよ。あいかわらず、アデルへの用意がすごいね。
あの日傘はアデル専用として用意しているのは間違いない。
以前、王宮の庭で小雨に降られたアデルに、ロイドさんが、さっとハンカチをだしたことがあった。
ロイドさんが使わないような、かわいい動物の刺繍がしてたから、アデルが聞いたんだよね。
「かわいい、ハンカチ! もしや、だれかからのプレゼント?」
すると、
「いえ、私が、アデル様にと用意したハンカチです。アデル様に使うときのことを想定して、自分用と2枚用意してます」
って、答えたときは、ぞわっとした。怖いでしょ。
ユーリ兄様と、アデルへの執着の強さは同じくらいかも。
仮にも隣国からの王子様なのに、部下に任せて、アデルしか見てないもんね。
さすがのデュラン王子も、驚愕してる。
ぼくは、ふと思う。
アデルが結婚するとき、ロイドさんはついていくのかな? 嫁ぎ先に。
アデルは色々画策してるけれど、ユーリ兄様から逃げきれることは無理だと、ぼくは思ってる。
ということは、ぼくの家に、ロイドさんもくるの?
想像しただけで、恐ろしいよね。
そういえば、こんなこともあったっけ。
以前、高位貴族の令嬢で、ロイドさんを見た目で気に入った人がいたんだけど、アデルへの執着をしらなくて、あらゆるコネを使って、近づいてた。
まあ、ロイドさんは、視界にすらいれてなかったみたいだけど。
そして、あれは王室主催のパーティーの時。
令嬢が猛烈にアピールしていた時、事件は起こりました…。
アデルがドレスのすそをふんで転ぶという、王女としてはありえない失態をしたんだよね。
それを見たロイドさん。ちょうど令嬢がロイドさんに飲み物のグラスを渡した時だったんだけど、それを床になげすてて、走り出したんだよね。しかも、割れるグラスの音でみんなが注目してしまってね。
令嬢は泣き出すし、ロイドさんは、アデルのもとへかけより、乳母のように、かいがいしく世話をするし。
アデルは恥ずかしくて真っ赤になるし、ユーリ兄様は冷気を放ちながら、ロイドさんを追っ払おうするし、地獄絵図みたいだった。
なぜか、王太子は笑ってたけど…。
あれ? でも、これっていい感じじゃない?
さっきから、デュラン王子がロイドさんしか見ていない。
目がはなせなくなってる。
つまり、ユーリ兄様のアデル三原則が守られ始めたってことだよね!
こうなったら、ロイドさん!
アデルへの過保護を全開に、デュラン王子の目をひきつけておいてください。お願いします!
マルク視点、続きます。今回は、主にロイドになりますが、改めて変な人です…。ブックマークをしてくださった方、いいねをくださった方、評価をしてくださった方、本当にありがとうございます! はげみになります!




