新しい作戦、考えました
アデル視点に戻ります。本日、2回目の投稿です。
真実の愛作戦が失敗してから、1週間。
私、アデルは、結婚阻止のため、更に真剣に計画をねりはじめた。
まさか、結婚すると、命の危機まであるとは!
すみやかに、ユーリの婚約者からおりねば!
そして、いろいろ考えてみた。で、ひらめいた。
この前の作戦が失敗したのは、ユーリの言葉にヒントがあるはずだと。
たしか、自分の知らないところで、自分のことを決められるのが嫌い、みたいなことを言ってたよね。
つまり、ユーリが婚約をやめたいと思ったらいいんだ。
それには、私以上に、ユーリがおもしろい、ひまつぶしになると思う相手を見つけること。
大丈夫、ユーリにあこがれている人は山ほどいる。その中に、一人くらい、そんな風に思う女性もいるはずだ。
そして、ユーリの本性に気づく前に、さっさと婚約者の座をゆずっておこう。
ということで、新しい作戦は、ユーリの婚約者を見つけよう、だ!
しかも、早速、チャンスがやってきた!
先日、ユーリ達が交渉した隣国の人たち。その後も滞在していたんだけど、すべて用を終え、明日、帰ることになった。なので、今晩、王家主催のパーティーが開かれる。
そこに、おもだった貴族も招かれている。もちろん、ユーリのファンもわんさかくるだろう。
ムフフフフフ。
いつもは、ユーリファンの女性たちから悪口三昧が聞こえてくると思うと、ゆううつだが、今日はどんとこいだ! いくらでも、言ってちょうだい!
そして、だれか、婚約者もかわってね。私が全力でアシストするわ!
自分ながら、いいアイデアで、気持ちもあがる。
ムフフフフフ。
「…王女様、アデル王女様。どうされましたか?」
と、呼ぶ声にひきもだされた。
そうだった。今、そのパーティーのために、髪を結ってもらってたんだった。
髪を結ってくれてるのは、子どものころからお世話してもらっている、メイドのアン。
もはや、年の離れた姉みたいな存在で、気心がしれている。
なので、すっかり、素にもどって、想像の世界に羽ばたいてたわ。
「今日のパーティーが楽しみだなあ、と思って」
「あら、珍しいですね。パーティーでるくらいなら、本読みたいって、いつもおっしゃってるじゃないですか」
「まあ、その気持ちはかわらないけどね。今日は特別なの…。ムフフフフフ」
鏡越しのアンの顔が若干ひきつった。
「あの、そのお顔、王女様とは思えませんね。何か悪だくみしてるみたいなんですけど…」
「まあ、失礼ね、アン。私が悪だくみなんてするはずないでしょ。すっごくいい計画を考えてるの。アンにも教えてあげたいんだけど、慎重にならないといけないから、まだ秘密。成功したら、アンに伝えるわね。楽しみにしてて。…ムフフフフフ」
「やっぱり、悪だくみじゃ…」と、アンは心配そうにつぶやきながらも、手際よく、華やかに、そして、もりにもった、パーティー仕様の髪型をつくってくれた。
「ありがとう、アン! あら? 今日は、いつもと違って大人っぽく見える」
アンは、ほこらしげに胸をはった。
「そうでしょう! 今日の濃紺のドレスにあわせて、大人っぽくしてみました。アデル王女さまに絶対似合うと思ったんですよ。ほら、すごくきれい! ユーリ様もドキドキされますよ!」
うん、ごめん。それいらない。
今日は、ユーリの相手探しなんだから、むしろ、子どもっぽくても良かった。
まあ、髪をもったところで、ユーリがドキドキなんてことはありえないし、私の髪型なんて、まるで興味なさそうだし。どっちでもいいか。
なんて、アンに言うこともできず…
「本当にありがとう、アン」
と、ほほえんだ。
じゃあ、いざ、パーティーへ。がんばって見つけるぞ!
、
次回から、パーティー編に。どんなパーティーになることやら。次回もよろしくお願いします。