おこってますか?
マルクはずっといますが、ずっとセリフなし。いつしゃべりはじめるんだろう…。
よし、真実の愛を言いきった!
部屋はしーんとしているが、わたし、よく言った!
そう思ったとき、背後から、大きな拍手が聞こえてきた。
嫌な予感…。
となりの銅像マルクが、ふるえだした。
、
「なに、みんなでお芝居の練習なの?」
「…」
「あら、ユーリ。早いわね。確か隣国との交渉で遅くなるんじゃんなかった?」
いち早く正常にもどった、レイラおばさまが、さらっと聞いた。
「交渉なんて、さっさと終わらせましたよ。それより、アデル。素敵なセリフが廊下まで聞こえてたけど…あれ、なあに?」
なあに? とかわいく問われても、なんでしょう。
「ああ、私が気に入っているお芝居について話してたのよ」
レイラおばさまが、あわてて、ごまかしてくれた。
ありがとうございます。助かります。寿命がのびます…。
「ふーん、そう。あ、母上。父上がさっき帰ってきて、呼んでましたよ」
「あら、そう? じゃあ、私はいくわね。アデルちゃん、お話できて楽しかったわ。またきてね」
というやいなや、心配そうな目をしたレイラおばさまが、部屋からでていってしまった。
いや、レイラおばさま、おいていかないで!
「じゃあ、ゆっくり話そうか、ふたりとも」
そう言って、目の前のいすに座ったユーリは、いつも以上に優雅にほほえんだ。
隣国との交渉だったため、正装に近い服装を着ているユーリは、見た目だけでいえば、いつにもまして、恐ろしいほどかっこいい。
が、気のせいかな。
何かゆらめく湯気のようなものが、みえるような気がする。
となりを見ると、マルクは目をとじ、心はどこかに飛ばしているよう。
ということは、私がなにか言わなきゃ。
「えっと、…お仕事、おつかれさま?」
「うん、本当につかれた。なのに、帰ってきて、さらに疲れるなんてね」
と、言ったあと、ユーリが笑顔を消した。
え、真顔。レアすぎて、怖い。
怖すぎて、まともに見れない。
もしや、おこってますか?
「まあね」
って、私、また心の声がでてたっ?!
今は、投稿は、あげられる時にあげられるだけ、という感じでまちまちです。慣れてきたら、時間を決めて投稿してみたいなあ、と思ってます。