真実の愛?
おかしな作戦の計画は、やっぱりおかしいです。
「じゃあ、ぼくはアデルと結婚したいって、誰に言えばいいの?」
フッフーン
その質問、すでに私の答えは決まっているのである。
「あなたたちのお母さま、公爵夫人よ。だって、一番簡単で、一番効果がありそうじゃない?」
「うーん…、そうかな…」
はぎれの悪いマルク。
「いーい、マルク。公爵夫人、つまりレイラおばさまは、舞台が大好きでしょ。しかも、恋愛ものに目がない」
「まあね、しょっちゅう見に行ってる」
「しかも、最近は、運のいいことに、政略結婚しそうになっていたヒロインが、真実の愛にめざめて、となりの国へ逃避行する舞台が人気で、通い詰めるほど、はまってるらしいわ」
「え? そんな話なの?」
「そう、真実の愛っていうのをぬかせば、ほぼ未来の私じゃない? ということで、真実の愛作戦、スタートさせます!」
「その作戦名、ちょっとひくんだけど…」
「ひいてられないわよ、マルク。私たち、真実の愛にめざめた二人にならないといけないんだから」
眉間にしわをよせるマルク。
「大丈夫。頭の中で、モリリオン先生の本の読み放題=真実の愛、に変換させるのよ」
マルクは宙を見つめ、想像してみる。
「うん、なんかいけそうな気がしてきた…」
「よし! 私もリッカ先生の本の読み放題を想像するわ。で、次にすること。マルクには、できるだけ早く、レイラおばさまと私たちふたりのお茶の時間をとってもらいたいの」
「え? そこで言うの?」
「そうよ、早くしないと、話がすすまないでしょ」
「いきなり誘って変に思われないかな?」
「レイラおばさまには、舞台の話が聞きたいって、私が言ってたって伝えて。そしたら、きてくれるから。本と舞台の違いはあっても、物語を愛し、語りたい気持ちはよくわかるから。大丈夫よ」
「なるほど」
「そして、真実の愛を散々語ってもらったあと、私たちが真実の愛にめざめたことを告白する! どう、この完璧な作戦」
「なんか、いいと思う。すごいね、アデル!」
「でしょ! 二人で、真実の愛=本、読み放題の世界をかちとるのよ!」
おかしな会話だらけで、真実の愛とは全く関係ない作戦が進行中です。はじめての投稿なので、見方もよくわからなかったのですが、いいねをくださった方、本当にありがとうございます! こんな感じで書き続けていいのか、迷ってたので、とても励みになりました!