かくれんぼ村 8
鬼狐はヒマリから助けたホフクの左手を握ると廃神社へ向かって走り出した。
廃村に残されたのは、お社様の呪いで実体化した亡霊達に惨たらしく殺された多くの人間の死体だけだ。
亡霊達は一体何処へ向かったのだろうか……。
陰陽師や宿泊施設を管理していた陰陽師達が死んだ事で、結界によって世俗と切り離されていた廃村は、世俗と完全に繋がった。
それにより、お社様の祟りは廃村一帯だけでなく、どんどん広がっていく。
呪いの力で実体化した多くの亡霊は廃村を離れ、近隣の村や町を目指して歩き出していた。
壊された四魂は元には戻せない。
四魂を失ったお社様は怒っている。
お社様の祟りは誰にも止められない。
強力な呪いを解ける者は居ない。
呪いは日本中に広がって行く。
呪われた人間達は、原因不明の病に倒れ、発症から1年後、苦しみながら息絶えて逝く。
日本中に蔓延した呪いは、弱まるどころか人間達の負を吸収し更に強力な呪いとなり、海を渡り──、やがては世界へ広がっていく。
祟りと呪いの発祥地を知る者は居ない。
仮に居たとしても、廃村の奥にある廃神社へ辿り着く事は不可能なのだった。
「 キッコ…、僕達は何時まで “ かくれんぼ ” をするの? 」
「 悪い人間が全滅する迄だな 」
「 悪い人間は何時絶滅するの? 」
「 お社様の怒りが治まった時だな 」
「 それって、何時? 」
「 オイラには分からねぇ。
お社様にしか分からねぇ 」
「 ………………そう…。
また、アサカさんと話したいね 」
「 アサカは来ねぇ。
逃がしてやったかんな 」
「 そっか…… 」
◎ なんとか完結させれました。
自分で文章を書きながら( 打ちながら )、「 なんだ、これは 」と思っていました。
今回も全然ホラーじゃない作品になってしまいました。
幽霊を登場させたらホラーになると思ったのにな……。