かくれんぼ村 5
“ かくれんぼ村 ” の廃村の中で “ かくれんぼ ” が始まって、6日目を迎えた朝、食堂にて案内人がツアー参加者を集めて点呼を始めた。
朝食は点呼を終えてからみたい。
ツアー参加者が点呼をすると18名しか居ない。
後の9名はどうしたのかしら…。
本当にリタイアしちゃったのかしらね??
「 ミナさ〜〜〜ん。
テンコのケッカ、 “ かくれんぼ ” にサンカするニンズウは27メイから18メイにヘりました〜〜〜。
9メイもライバルがキえてくれましたね〜〜。
ヨかったですね〜〜。
“ かくれんぼ ” のキゲンまでキョウをイれて2カになりましたよ〜〜〜。
ガンバってターゲットをツカまえて、ワタクシのマエにレンコウしてキてくださいね〜〜〜。
チナみに9メイのサンカシャさんタチは、リタイアではなくて、ドロップアウトされました〜〜〜 」
「 ドロップアウト?!
それは…どういう事だね? 」
「 途中退場って事よね?
ライバルが減るのは嬉しいけど、何で途中退場したのよ? 」
「 1度に9名は異常じゃないのか! 」
「 何があったんだ?
昨日の大雨の所為なのか? 」
「 ドロップアウトした理由があるなら、ちゃんと教えなさいよ!! 」
寄って集って、参加者が案内人へ詰め寄る。
案内人はオロオロと困っている。
「 オちツいてくださ〜〜い!
リユウがシりたいたいのですか〜〜?
ミナさんカわってま〜〜す。
…………ワかりました〜〜。
ミナさんに9メイがドロップアウトされたリユウをオツタえさせていただきま〜〜〜す 」
案内人は食堂に集まっている参加者全員へ衝撃的な言葉を投下した。
マジで聞かなかった方が良かったレベル。
然も、今は食事前。
あんな衝撃的な言葉を投下されて、朝食を楽しんで食べれると思うわけ??
案内人にはデリカシーが無いのかしらね!
最悪な気分だわ……。
アタシ……ガチマジにリタイアしたい。
「 アサカさん……、私…リタイアしたいかも……です 」
「 ヒマリさん……。
アタシもだよ。
アタシもリタイアしたいって思ってるの。
1日早いけど、案内人に話してみよう! 」
「 アサカさん…。
1000万円は欲しいけど……命には変えられないもんね… 」
そんなわけで、アタシとヒマリさんは夕食が終わったら案内人にリタイアさせてもらえないか話してみる事にした。
アタシはヒマリさんと話し合って、1人ずつでターゲットを探す事にした。
ヒマリさんとアタシにとって、今日が最後の “ かくれんぼ ” になるんだから────。
アタシは1人で廃神社へ向かった。
もしかしたら、キッコに会えるかも知れないから。
キッコに教えてあげないといけない。
アタシ達が “ かくれんぼ ” で探しているターゲットの1人がキッコなんだって事を!!
皆に見付からないように此処から逃げなくちゃいけないって事を!
廃神社へ行ったからって、キッコに会えるとは限らないけど……。
廃神社へ続く道は歩き易いように草が丁寧に刈られている。
そう言えば、廃神社へ向かった3人も “ かくれんぼ ” をドロップアウトした9名に入っていた。
と、いう事は…………もう……。
…………本当に気分が悪い。
最低で最悪なゲームじゃないのよ!!
アタシはズカズカと大股で道を歩いて廃神社へ向かった。
廃神社へ着くと拝殿の扉が壊されていた。
誰が壊したのかしら……。
アタシは恐る恐る拝殿に近付いて中を覗いて見た。
「 …………何………これ……目茶苦茶じゃないのよ!!
何で──、拝殿の中が荒らされてるの?!
何か、割れてる??
………………何かしら…この丸い石は?
…………所々が欠けてるけど……まさか──、ド◯ゴ◯ボ◯ルじゃないわよね?? 」
アタシは拾った丸い石を埃だらけのミニ座布団の上に戻してみた。
置かれていた場所に埃が溜まっていなかったから、試しに置いてみただけなんだけど……。
アタシが拝殿から出ると、子供が立っていた。
「 キッコ!
嘘…本当に会えた!
良かった!
キッコ、アタシね、キッコに話さないといけない事があるの!
聞いてほしいの!! 」
「 アサカ…。
……オイラもアサカに教える事があるべ 」
「 アタシに?
何かしら… 」
アタシはキッコに案内されて場所を移動する事になった。
キッコと一緒に移動した場所は生い茂った森の中────。
「 キッコ……何処に行くの? 」
「 オイラとホフクは “ かくれんぼ ” をしてっからな。
見付からねぇ所へ向かってんだ 」
「 キッコ──、アタシの話はね、ホフクと一緒に聞いてほしいの。
多分ね、ホフクも関係してる事だと思うから…… 」
「 分かった。
アサカの話は、ホフクと一緒に聞くべ 」
「 有り難う、キッコ 」
「 着いたべ。
──ホフク、アサカを連れて来たべ。
ホフクとオイラに話があるみてぇだ 」
「 うん… 」
「 初めまして、だね。
ホフク君。
アタシはアサカよ。
宜しくね 」
「 初めまして…アサカさん。
ホフク…です 」
「 アサカの話から聞くべ 」
「 うん 」
「 有り難う! 」
アタシはキッコとホフク君に、廃村へ来た日 〜 今日までアタシが体験して、案内人から言われた事を話した。
早く此処から逃げた方が良い事もちゃんと伝えた。
ホフク君は不安そうな顔でキッコを見ている。
キッコは──笑っていた。
「 ど…どうしたの?
キッコ?
アタシ、何か可笑しい事でも言っちゃった? 」
「 …………やっぱり、アサカは美味いな。
オイラはアサカを信じるべ 」
「 キッコ… 」
「 今度はオイラの番だな。
昨日の朝、神社に人間がやって来たべ。
拝殿を乱暴に開けて、拝殿の中を荒らしたべ。
人間は…お社様を掴んで床に叩き落としたべ。
お社様は…お怒りだ。
祟りが起きるべ 」
「 祟り??
キッコ…お社様って、あの丸い石の事? 」
「 そうだ。
丸い石は四魂って言うべ。
四魂が壊されたから、お社様が怒ってるべ。
祟りが起きると呪いが動き出すべ 」
「 呪いが動く…?? 」
「 キッコ…どうしよう…。
僕…怖いよ…。
アレが…また…… 」
「 ホフク、心配すんな。
オイラが居るべ。
人間からもアレからもオイラがホフクを守るべ 」
「 ホフク君は狙われているの? 」
「 う、うん……。
アレに見付からないように、僕はキッコと一緒に “ かくれんぼ ” してるんだ… 」