かくれんぼ村 1
………………は?
………………え?
………………何で??
……何で………アタシ………こんなツアーに参加してんのぉぉぉぉおおおおおおッッッ!!!!
アタシは──、昨日までパパ活をしてた筈なんですけど!?
何で、パパ活してたのにヤバい奴等が参加してそうなツアーに参加してんのよぉッッッ!!
一体アタシに何が起こった?!
昨日の夜……パパ活をしていたのは間違いない。
だけど……パパンと「 ばいなら 」した覚えはない……。
…………えっ??
……いや、……まさか、…………えっ……アタシ……拉致られた?!
パパンに拉致られた?!
嘘……だよねぇ??
「 は〜〜〜い。
ミナさ〜〜ん、オマたせイタしました〜〜。
“ かくれんぼムラ ” にトウチャクしましたよ〜〜。
ミナさ〜〜ん、バスからオりてくださ〜〜い。
ワスれモノしないでくださいね〜〜 」
やけに暢気で明るいカタコト混じりの日本語を話す外国人が居るわね…。
手に旗なんか持っちゃってぇ〜〜。
何々ぃ〜〜…………【 かくれんぼ村で “ かくれんぼ ” して1000万円もらっちゃおうツアー 20◯◯年 in 永濱 】…………はぁ??
永濱?!
……いや、確かにアタシは永濱に居たけど…。
こんなヘンテコで怪しいバスに乗った記憶はないわよ!!
「 オキャクサマ〜〜、どうされましたか?
ゴキブンでもワルいですか?
バスはオりれますか? 」
「 あ……えぇと……大丈夫です…。
降りれ…ます……(////)」
やっだ、イケメンでイケボじゃないのよ(////)
はぅ〜〜〜ん♥♥
素敵なんですけど〜〜〜〜♥♥♥♥
あぁ…そうだった。
バスを降りなくちゃね…。
「 ミナさ〜〜ん、コンカイは【 かくれんぼムラで “ かくれんぼ ” して1000マンエンもらっちゃおうツアー 20◯◯ネン in ナガハマ 】にサンカしてくださってアりガトうゴザいま〜〜す。
ワタクシはアンナイニンのヴァニタとモウしま〜〜す。
ミナさんを “ かくれんぼムラ ” までアンナイさせていただきま〜〜す。
ではではシュッパツしましょ〜〜〜う! 」
案内人のヴァニタさんは、手に持った旗をパタパタと振りながらツアーの参加者を誘導してくれる。
元気な人ねぇ……。
イケメンでイケボだけど、一寸ウザいかも……。
「 “ かくれんぼムラ ” にはムカシからイいツタえがありま〜〜す。
この “ かくれんぼムラ ” のナカで “ かくれんぼ ” をしたヒトタチは、ゲンインフメイのヤマイにオカされて、ヤマイがハッショウしたヒから1ネンゴにナくなってしまうそうで〜〜〜す! 」
案内人のとんでもカミングアウトに参加者がザワザワと騒ぎ出した。
本当にとんでもないんですけど!!
それ、マジじゃないでしょうねぇ!!
1年後に原因不明の病で死ぬとかマジで嫌なんですけど!!
案内人のとんでもカミングアウトに対してツアー参加者が各々に文句を言い出したけど、案内人は何故か涼しい顔をしている。
「 ミナさ〜〜ん、フアンがらないでくださ〜〜い。
1000マンエン、ホしいですよね〜〜?
アンシンしてくださ〜〜〜い。
ヤマイにならずにエンマンカイケツするホウホウがありま〜〜す!
イマからミナさんに、そのホウホウをオシえま〜〜す 」
案内人の言葉を聞いたツアー参加者が文句や野次を飛ばすのを止めた。
テンションが一気に上がるのを感じる。
嫌な熱気がムンムンするわぁ。
この人達は、そんなに1000万円が欲しいの?!
お金の力って、コッワ〜〜〜。
「 ミナさ〜〜ん、1000マンエン、ホしいですか〜〜〜? 」
案内人の言葉に20名以上居るツアー参加者は声を揃えて「 欲しい〜〜〜〜!! 」って叫ぶ。
「 1000マンエン、モってカエりたいですか〜〜? 」
案内人の言葉に20名以上居るツアー参加者は声を揃えて「 持って帰りた〜〜〜〜い!! 」って叫ぶ。
正直言って、コイツ等の熱気とテンションには付いていけない……。
アタシが冷め過ぎてるのかしらね??
そんなこんなで歩いている内に、村らしいのが見えて来た。
村……って言うか、廃村……なんじゃないの??
「 ミナさ〜〜ん、おツカれサマで〜〜す!
モクテキチの “ かくれんぼムラ ” にトウチャクしました〜〜 」
何処が村よ!
明らかに廃村じゃないのよ!!
一体何処で寝泊まりするのよ!!
廃村を目の当たりにしたツアー参加者も案内人へ文句を言い始めた。
そりゃ、「 村ですよ~~ 」って言われて廃村に案内されたら誰だってブチ切れるわよねぇ。
アタシもブチ切れたいわぁ!!
「 ミナさ〜〜ん、オチちツいてくださ〜〜い。
このハイソンは “ かくれんぼ ” をするブタイになりま〜〜す。
ミナさんにはアスから、このブタイで “ かくれんぼ ” をしてもらいま〜〜〜す。
ミナさんのシュクハクされるシセツはコチラにありま〜〜〜す。
ゴアンナイさせていただきま〜〜す 」
何処までも底抜けに明るい案内人の言葉に対して、ツアー参加者はホッと胸を撫で下ろしたみたいに安心した顔を笑い合っている。
案内人は「 コチラで〜〜〜す 」と手に持った旗を振りながらツアー参加者を宿泊施設へ案内してくれる。
廃村を通り過ぎて10分程歩いた先に立派な宿泊施設が見えて来た。
はぁぁぁ〜〜〜〜……すっご……。
此処に寝泊まりするんだ…。
20名以上のツアー参加者も感嘆の声を上げている。
こんな立派で素敵な宿泊施設に泊まれるなんて、そりゃ皆も喜ぶわよね。
案内人の案内で宿泊施設へ入ると、中はまるで外国の高級ホテルみたい。
ツアー参加者のテンションが駄々上がりしたのは言うまでもないわよね?
案内人が「 フロントでチェックインしてくださ〜〜〜い 」とツアー参加者を促している。
どうやら部屋は洋室と和室の好きな方を選べるみたい。
宿泊室の写真を見て決めるみたい。
寝室,洗面所,浴室,トイレ,居間の写真を見て決めれるのは嬉しいサービスだと思うわ。
個室でもお風呂に入れるけど、宿泊施設には大浴場もあるみたい。
浴室とトイレが別になってるのも嬉しいわよね。
アタシは洋室を選んだ。
洋室を選ぶとバスタブにジャクジーが付いてるのよね!
フロントから宿泊室の鍵を受け取ったツアー参加者は、夕食の17時まで自由行動になった。
宿泊施設は大浴場で温泉に入れるし、マッサージも体験出来みたい。
スポーツジムもあるし、カフェ風のマンガ室もあるし、室内プールもあるから水着の貸し出しもされている。
まるで宿泊施設の中にスーパー銭湯や健康ランドが入ってるみたいな感じ!!
アタシも17時まで自由に寛ぐ事にした。