13.それぞれの今①
タンメン登場。
ソフィアの護衛隊ではなく、親衛隊の末席にあるワンタン達がいた。400名中の100名がワンタンの指揮下にいることになる。
最近のワンタンは上機嫌だった。
親衛隊員になってから、他の親衛隊員と比べ弱くコンプレックスを抱いていたが、弟のタンメンが旅から帰ってきたのだ。
タンメンはワンタン達一党の中では兵士として群を抜いた実力者だ。自分たちがかなわない一般の親衛隊員にも負けない。チャハーン、ラメーンギヨザー、シュマーイの兄貴分だ。
ある日、自慢の弟であるタンメンをソフィアに会わせることができた。
基本的に、ソフィアは自分の親衛隊員には1度は会う。だが、ワンタンは自信満々で切り札と思って張り切っていた。
「ワンタンとタンメンです」
「どうぞ」
「失礼します」
「ソフィアです。あなたがタンメンですか、ワンタンから話はうかがっています」
「ソフィア様、タンメンです。お目にかかれて光栄です。」
タンメンはソフィアを見て驚いていた。一目惚れだった。
「ワンタンは、あなたの自慢ばかりしていましたよ。私の親衛隊に入ってもらえるのですか?」
「はい。是非」
「今後の活躍に期待します」
「私は、ソフィア様個人に忠誠を尽くします」
「ありがとう」
「あなた様のお側で働けるなら光栄です」
「ありがとう。頼りにしていますよ」
「ここで私の腕を見せましょうか?」
護衛隊員のアラン達の目つきが鋭くなった。
「アベル、アラン、アレクサンドル、どうしますか?」
「ソフィア様にお任せしますが、場所は闘技場が良いでしょう」
「では、タンメンの腕前を確認してきてください」
「いえいえ、ソフィア様に見ていただきたいのです」
「あら、そうなの?腕前ならアベル達から後で聞けますが」
「ソフィア様に格好いいところを見せたいので」
「…わかりました。私も行きましょう」
闘技場。
「私が相手をします」
アベルが長槍を構えた。
「開始線へ」
アランが審判だ。
「はじめ!」
タンメンがアベルの懐に跳び込もうとした。だが、ガードが堅くて入り込めない。
その時、アベルは何かを長槍で払った。
「影使いか?」
タンメンの影が、短刀を握っている。
「すぐにばれちまったか」
「行くぞ」
「え?」
タンメンは長槍の連撃を受けて前のめりに倒れた。
「あまり影に頼るな。影を使えば2人がかりで戦えるような有利もあるが、元々の剣術が未熟だ」
「すみません、ソフィア様。恰好いいところを見せたかったのですが…」
「これから頑張ってくださいね)
「私はソフィア様に惚れました」
一同、時間が止まったかのような沈黙。
「ありがとう、ですが、私には心に決めた人がいますから」
「これから頑張ります」
「はい、よろしくお願いします」
一同は去り、ワンタンとタンメンが残った。
「兄貴、ソフィア様の想い人って誰だ?」
「レン殿だ」
「レンか…」
タンメンは舌打ちをした。
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