2.門出⑤
新入隊員の洗礼は続く。
「次、レンはそのまま、ランは開始線へ」
薙刀をもった女性が開始線に立った。
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
ランは済ました感じだが顔立ちは整っていた。
「構え」
ランは薙刀を構えた。
「はじめ」
今回は、薙刀の間合いから少し遠のいて様子を見た。
「はっ!」
ランが間合いを一気に詰めた。僕は大剣で一撃を止めた。一撃が重い。スピードも充分。強敵だ。
気が付いたら僕は防戦一方になっていた。僕はいったん後方に跳びノーガードで待った。ランが斬り込んでくる。
ここだ!
僕も踏み込んだ。カウンター狙い。僕もランもどちらも外した。もう一度距離をとった。
「アベル、アラン、アレクサンドル、入れ」
3人が入って来た。
「どういうことですか?」
僕は言った。
「1対1とは言っていない、乱戦を想定して戦ってもらう」
アベルは大柄だ。こっちに突進してくる。他の2人が見当たらない。アベルが戦斧を振るうのを後方に避けると、アベルの背後からアランが跳び出してきた。槍を持っている。アベルの背中を踏み台にしたらしい。
間一髪、僕は避けれた。と思ったら、アベルの背後からアレクサンドルが跳んできた。矛を振るう。大剣で受け止めた。ランが突進してくる。一気に訓練場の端まで後退した。
1対4、これは苦しい。
またアベルが戦斧を振るう。横に避ける。そして僕が跳んだ。アベルの肩を踏み台にして。背後から跳んで来るアランを空中で止めた。着地の際にアレクサンドルの矛も薙ぎ払った。着地すると同時に僕はまた距離をとった。
全く勝機が見えない。体力的にもキツイ。そんな中、ランが斬り込んできた。やはり受けるので精一杯だった。そこへアベルが突進してきた。上からアランとアレクサンドルが襲ってくる。
僕は一太刀ずつ峰打ちを食らった。要するに4人分、4発くらった。僕は地に伏した。
痛い。
「4名、下がれ」
4人は下がった。
「次、シュウ、開始線へ」
僕は立ち上がった。開始線へ。
「はじめ」
一瞬のことだった。開始線から一気に距離を詰めて抜刀術で1撃をくらった。レベルが違う。何も出来なかった。
「シュウ、下がれ。最後は私だ」
僕は立ち上がって、もう一度開始線へ。
「いくぞ」
「はい」
僕は今度は自分から間合いに飛び込んだ。長槍とのカウンター狙いだったが失敗した。一瞬で腹を突かれた。僕は意識を失った。
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