12.次へ⑥
自室にて。
自分の部隊に戻って、3日間の休息を皆に告げた。
僕も自分の部屋に戻った。久しぶりの自室だった。きっと埃まみれだろう。
と思ったら、思いがけず綺麗だった。そこへ1人のメイドが入って来た。
「あ、レン様!お戻りだったんですね」
見覚えのある顔だった。だが、どっこで出会ったか思い出せない。
「ああ、戻ったで。もしかして、僕の部屋を掃除してくれてた?」
「はい、何時お戻りになってもいいようにと」
「ありがとう。助かったわ」
「お役に立てたのなら嬉しいです」
小柄ですごく可愛い。これだけの美少女なら覚えているはずなのだが…。
「前にも会ったよね?」
「はい、何度か」
僕は自力で思い出すのを諦めた。
「ごめん。失礼やけど、何時どこで会ったんかな?」
「最初はこのお部屋です」
「そうやった?」
「はい。卒業記念の寄せ書きを記したお皿を割ってしまった時です」
「ああ、あの時の」
「怒られると思ったのですが、全くお怒りにならなくて」
「怒っても仕方ないからな」
「そうです。あの時もそうおっしゃっていました」
「そうやったかな?」
「はい。許して頂いて嬉しかったんです」
「他にも会ったっけ?」
「はい。私が上司に叱られているときに通りかかって…」
「ああ、あの時か」
「はい、私を庇ってくださいました」
「あのメイド長は細か過ぎるからな」
「それで、少しでもお礼をしたくてお部屋のお掃除を…」
「ありがとう」
「いえいえ」
「二度と忘れないように名前を教えてくれる?」
「はい、レナです」
「レナ、ありがとう」
「いつまで滞在ですか?」
「3日」
「あれだけ長期のお仕事でたったの3日のお休みですか?」
「うん」
「また長期でお仕事ですか?」
「うん、西部に行って北部に行って、それから帰ってくる」
「長くなりそうですか?」
「うん」
「その後は?」
「多分、東部の国境警備」
「そうなんですね」
レナは少しガッカリしているようだった。
そこでノックの音がした。
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