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マリア…。
「君は誰だね?」
「レン3千人隊の副将のマリアです」
「ということは千人長か、千人長がなんだね?」
「東部戦線について質問があります」
「なんだね?」
「国境から少し離れたところにしか駐屯部隊が無いのですが」
「それがどうかしたかね」
「現状では、国境沿いの街や村を守れていないと思います」
「ルフラン軍が国境を越えれば都度対応している」
「駐屯部隊が駆けつけるまでに街や村が襲われています」
「そうは言っても、東部はベアトリーチェ様の管轄だしなぁ」
「誰の管轄でも関係ないと思います。もっと国境の近くに駐屯すべきだと思います」
「千人長には関係の無いことだと思うがね」
「ですが」
「いい加減にしろ」
「そんなに東部の国境近くが好きなら、モンスター調査が終わったら駐屯させてあげよう」
「是非、そうしてください」
「レン、部下の躾がなってないようだな」
「マリアの言うことは正しいと思います」
「なんだと?」
「この上司にしてこの部下か。いいコンビだな」
「では、モンスター調査が終わったらレンもマリアも東部国境駐屯だ。好きなだけ守っていればいい」
「そうさせていただきます」
「レンもそれでいいのか?」
「はい」
「話は終わりだ、下がれ」
「失礼します」
軍本部を出て、僕はロウに謝った。
「お前に迷惑をかけたな、すまん」
「何も迷惑なことは無いが、本部に嫌われるのは良くないぞ」
「大丈夫や、元々嫌われているからな」
「隊長、すみませんでした」
「マリアは自分で自分のことを“煙たがられている”と言っていたな、ようやく意味がわかった」
「すみません」
「悪いことを言ったのか?」
「いえ…」
「それなら、気にするな」
「ですが…」
「部下のことは上司の責任やからな」
「ありがとうございます」
「一緒に東部戦線に行けばええやんか」
「隊長のような上司に、今まで巡り会えませんでした。私は隊長についていきます」
「あまり堅く考えるなよ」
「はい」
マリアは笑顔だった。
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