11.遊学と調査②
戦闘開始。
「全軍、止まれ!」
ロウが指示する。
「ドラゴンで空から見てこようか?」
と、僕。
「頼む」
僕はドラゴンで空を飛んだ。
空から見るとモンスターが僕らを半包囲していた。こちらの前軍はロウの5千人、それが半包囲されている状況だった。
「前軍がほとんど半包囲されている。だが、包囲自体は厚くない。広がっているが数は結構多い」
「よし、俺の隊で迎え撃つ。レンは学者達を守ってくれ」
「モンスターと戦ったことはあるんか?」
「何度かある」
「スライムをまとった魔人は?」
「戦ったことはある」
「サキュバスやインキュバスは?」
「大丈夫だ」
「ほな、大丈夫やな。気をつけて」
「ロウ隊、戦闘開始。魔法攻撃と物理的攻撃を使い分けろ。魔法防御と回復魔法も平行して行う。可能であれば何体か生きたまま捕獲、研究に使う。突撃」
ロウ達がモンスターの一団に突進した。
ロウのドラゴンは、モンスターを次々に火あぶりにしていった。スライムをまとった魔人にも通用することがよくわかった。
ロウ達の中では水の魔法を使う魔法部隊が活躍していた。毒水をスライムに注ぎ込んで内側から倒していくらしい。
火炎魔法部隊もスライムを地道に蒸発させていたが、水の魔法の方が即効性がありそうだった。
僕は特に水の魔法の有効性に驚いた。“こんな戦い方があったのか”と感心した。
物理的攻撃を好む剣士が剣や槍で魔人と戦っていた。よく鍛錬されているらしく強かった。やはり僕の隊のレベルは低い。なんとかしなければならない。僕は溜息が出た。
ドラゴンもいるし、ロウ達は終始優勢だった。安心して見ていることが出来た。
負傷した兵士にはすぐに回復魔法を施された。
死傷者をなるべく出さないように、かなり鍛錬されている。僕はますます感心した。横にジェーンかマリアがいたらいろいろ戦闘パターンについて話し合っていたことだろう。だが、2人はそれぞれ後軍の右翼と左翼にいた。
ロウを見ていて、ドラゴンに乗っての戦闘についてかなり勉強になることがあった。
モンスター達は確実に減っていく。このまま一方的な展開が続けば、さほど時間はかからないだろう。
僕は戦闘の終了を待っていた。
その時!
「隊長、右翼にモンスター達が突入してきます」
「隊長、左翼からモンスター達が突入してきます」
左右、同時に伝令が走ってきた。
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