10.休日と新しい動き⑤
休息と日常。
すっかり身体がよくなったので、部下の鍛錬の様子を見ていた。
ジェーン、マリアそれぞれが部下を指導していた。
すると、マリアとジェーンが近寄ってきた。
「隊長」
「なんやねん、急に」
「私とマリアはどちらが強いでしょうか?」
「わからんよ。試合でもしないと」
「ということで、試合してもいいですか?」
「みんな腕試しが好きやなぁ」
「誰がどれだけ強いかを知っておくことは必要です」
「僕の時も腕試しさせられてキレたけど、まだやるの?」
「はい、許可を」
「わかった。許可するが怪我の無いようにな」
「はい」
マリアとジェーンが闘技場の開始線につく。
「構え」
2人共抜刀した。
「始め」
猛烈な剣撃が始まった。お互いスピード剣士かと思ったが、マリアは盾を持った片手剣だった。マリアの方が剣の厚みもある。
スピードではジェーンが若干上、攻撃力と防御力ならマリアが上といったところか。
マリアはスピード不足を盾でフォローしていた。ジェーンはスピード重視の細身の剣。
数十合撃ち合ったところで僕が言った。
「そこまで。引き分けだ」
2人とも不服そうだった。
「2人共、魔法を駆使せず剣のみで戦ったのは見ていて心地がよかった。魔法を使ってどうなるかはわからないが、これ以上やるとどちらかが怪我をしてしまう。だから引き分け」
「ですが」
「千人長としての自覚を持て。千人長として訓練で怪我をするわけにはいかんだろう」
「はい」
「わかりました」
「心配しなくても、お前達は強いよ」
僕の言葉に、2人は笑みで返してくれた。
「そうだ、忘れていた。僕のドラゴンに乗ったことはあるよな?」
「あります」
「一度だけ」
「もっと乗ってくれ、早速乗ってくれ」
「え?」
「戦場で乗ってもらうことがあるかもしれへんやろう」
2人共楽しいらしく、飛行中キャーキャーワーワーとうるさかった。最近はこんな風に平和な日々だった。
★メッセージ、コメント、評価、感想、レビュー、ブックマーク等よろしくお願いいたします★




