10.風塵②
一難去って。
静養した方が良いと言われたが、僕は翌日には出勤した。
「隊長、大丈夫ですか?」
「大丈夫。そちらの方は?」
「本日付で副将になったマリアです」
「レンだ。よろしく頼む」
ジョンの代わりの副将だった。
「マリアも本部から疎まれているのか?」
「何故ですか?」
「僕の部下になれってことは、死に近づくということだからな」
「正直、疎まれているかもしれません」
「何をした?」
「軍議の度に私の意見は採用されませんでした」
「はっきりものを言い過ぎるのかな?」
「自分ではわかりませんが、煙たがられていたのは確かです」
確かに気が強そうな顔をしていた。美人だが、かわいくはない。
「まあ、よろしく頼む」
「はい」
僕はソフィアやリーに襲撃された旨を手紙に記していた。ソフィアの時と同じ暗殺者だったからソフィア達にも知らせたいのだ。
「マリア、雑用を頼んでいいか?」
「何でしょう?」
「この手紙を発送してくれ。今日はまだ傷口が痛くて歩くのがツライ」
「わかりました」
マリアは去って行った。
「ジェーン、昨日の襲撃を本部に知られたくないんだが」
「もう知られています」
「何故だ?」
「わかりません。ですが上層部は皆が知っています」
「そうか…」
「それで隊長が本部に呼ばれています」
「隙を見せたくないからな。行ってくるよ」
「いってらっしゃいませ」
僕は本部へ足を運んだ。
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