10.風塵①
眠れぬ夜。
ドラゴン退治という非日常から軍隊の日常に戻った。
交替で、警察業務、国境警備、モンスター退治、山賊退治などを行う。だが、ドラゴンの一件以来、手柄を立てるチャンスはなかなか無かった。
だから、隊の訓練にかなりの時間を費やした。元々が弱すぎたので、スキルアップに長時間かける必要は無かった。部下達は順調に腕を上げていった。
そんなある日、夕食を終えて自分の部屋に戻ろうしていたら殺気を感じ取った。感じたことのある殺気だった。
一瞬の出来事。
僕は、背後からの槍の攻撃を避けていた。槍は影の中に消えた。ソフィアを襲撃した影使いだ。
それから僕は自分の影と戦わないといけなくなった。僕は、影が前になるように立ち位置を定め、正面からの攻撃だけに注意すればいいようにした。
この影使い、槍の扱いが上手い。僕は何合も打ち合った。何度も自分の影を大剣で刺す。だが、なかなか手応えがない。
僕は焦っていた。1度、僕はこいつに負けている。やはり僕は勝てないのか?
「隊長」
ジェーンが駆け寄ってきた。
「来るな、敵は影に潜んでいるんだ!」
その時、ジェーンの影に移動した影使いがジェーンの腹部を貫く槍攻撃を繰り出した。
間に合った。僕はジェーンを庇って代わりに刺された。槍を掴む。と同時に槍を引っ張り上げる。一瞬、黒い塊が姿を現した。僕は大剣で黒い塊を貫いた。
悲鳴が轟き、その後は静寂が戻ってきた。
「勝ったかな?」
僕は前へ倒れ込んだ。槍が突き刺さったままだった。
「隊長!」
僕は気を失った。
気が付いたら自室のベッドの上だった。
「気が付きましたか?」
ジェーンが声をかけてきた。目に涙をためている。
「巻き込んですまなかったなぁ」
「いえ、私のせいで怪我をさせてしまって」
「ジェーンのせいやないよ。むしろ、ジェーンのおかげで勝てた」
「ですが」
「あれはソフィア様を狙った刺客だ。今度は僕を殺そうとしたらしい」
「どうして狙われるのですか?」
「わからへん。僕はあちこちで嫌われているからなぁ。でも、ソフィア様と僕を狙ったという意図は気になるなぁ」
「ジェーン様、もう大丈夫です。1週間くらいは静養した方がいいですね」
傍らに佇んでいたエマが静かに言った。エマは回復魔法部隊の隊長だ。影の薄い美人だった。
「では、私は失礼します」
エイミーが去った。
「ジェーン、もう少し眠らせてもらうで」
僕は再び眠った。深い眠りだった。
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