9.風雲⑥(不穏⑤)
勝利の後に。
「ソフィア、入るわよ」
「あ、お姉様。どうぞ」
ベアトリーチェが黒衣の男と中に入ってきた。黒衣の男は仮面をつけていたが、仮面では隠しきれない実力を僕は感じ取った。
「こちらがレン?」
「はい。レンと申します」
「活躍を続けているらしいわね」
「いえ、運が良かっただけです」
「謙遜しなくてもいいのよ…」
僕は、(本当に姉妹か?)と疑問を抱いた。ソフィアとは全く似ていない。美人なのだが、“本心が全くわからない人”という印象だった。
「聞いたわよ、ソフィアの想い人らしいわね…」
「いえいえ…」
「レン、お姉様がいなければ北方のノア地方に配属されるはずだったのよ」
「そうだったんですか?」
「エラン地方の方が、ソフィアが近くにいていいでしょう?父王と話をしたのよ」
「ありがとうございました…」
雑談が盛り上がった頃、
「ソフィア、いったん自分のテントに戻るわ。レン、またお会いしましょうね」
ベアトリーチェのテント。
「大失敗だったわ」
第2王女は怒りに震えていた。
「ユリウスとくっつかないようにエラン地方に配属させたのに」
「まさかドラゴンを生け捕って来るとは思いませんでしたな」
黒衣の側近は笑った。
「何がおかしいの?」
「失礼しました」
「自爆剣士が何年経っても大将軍にはなれないと思ったからこそエランに留めたのに」
「このままでは将軍になると?」
「なってもおかしくないところまで来たわね」
「どういたしますか?自爆剣士に対して“平民風情が調子に乗っている”と反感を抱いている貴族が増えていると聞きますが」
「城に帰ったら、打ち合わせしましょう。考えないといけないことが沢山あるわね」
第2王女は溜め息をついた。
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