9.風雲⑤
再会。
本陣に帰還した僕たちに皆が驚いていた。ドラゴンの雛を6匹も連れて帰ったからだ。
ドラゴンを退治したことは早馬でエラン城と王宮などに既に知らせてあった。
「レン様、ソフィア様がお呼びです」
「ソフィア様が来られているのですか?」
「陣中見舞いだそうです。ここは辺境ながらエランの一部ですから」
「早く行ってこい」
リーが笑顔で言った。
「行って参ります」
僕はソフィアのテントに案内された。入口にフーが立っていたので互いに微笑んだ。
「レンです」
「お入りなさい」
「失礼します」
僕はテントに入った。シンプルな衣装の多いソフィアが、華やかなかわいい服装で出迎えてくれた。
「お久しぶりです。ソフィア様におかれてはご機嫌うるわしく…」
僕の挨拶をソフィアが途中で遮った。
「堅苦しいのは無しにしましょう」
「はい」
「また勝ったのですね」
「皆のおかげです。ですが、犠牲も出ました」
ジョンは回復魔法を施しても生き返らなかった。レンの心に暗い影を落としている。
「犠牲者のことを考えると落ち込むわね。でも、また昇進するわ、今度は3千人長かしら」
「そうなればいいですね」
「何かもっと気の利いたことは言えないの?」
「ソフィア様は、相変わらずお美しいですね」
「そう、それでいいのよ」
「部屋にレイラとユーリとラン様がいらっしゃるので、とても恥ずかしいのですが…」
僕は赤面してしまった。レイラとランユーリが笑っていた。
「ドラゴンを退治してドラゴンを連れ帰ったのですね」
「はい、これから馬の代わりに乗ります」
「出世の近道ね」
「そうなれば良いのですが」
「レンのことは理解していますよ」
「と、おっしゃいますと?」
「500人で3000人と戦ったり、ひどい目にあっているんですよね?私の責任でもあります。申し訳ありません」
「いえいえ、ソフィア様の責任ではありません」
「私はいつも心配しています。自分の命を大事にしてくださいね」
「はい。承知しました」
「それでね…」
ソフィアが雑談を始めた。楽しかった。素の姿を見ることが出来たようだ。
「…今、エランは大変なのです。ドラゴンの復活、エラン川の調査、モンスターの調査、刺客の捜索…。ですが、レンのおかげでドラゴンの件は解決ですね。ありがとう」
「お側でお仕えしたいところですが、申し訳ありません」
「私のことは大丈夫ですよ。無理しない程度に頑張ってください」
「はい」
「そうそう、ドラゴンを征伐したお祝いにベアトリーチェお姉様が来てくれているの。呼ぶわね」
「はい」
ソフィアの笑顔は愛しいと思ったが、ベアトリーチェの登場に関しては嫌な予感がした。勿論、根拠の無い予感だったが…。
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