8.軍隊の日常③
1000人対300人。
数日後、僕は軍本部から指令を受けた。300人全員を招集して内容を話した。
「これから国境へ行く。国境付近で、隣国ルフランの千人隊が暴れているようなので、これを撃退する」
「隊長、私どもだけですか?」
ジェーンが聞いてきた。
「我々だけで、敵の千人隊を撃破する。援軍は無い」
「1000人対300人ですか?」
「そうだ」
「そんな無茶な。どうしてそんな命令が」
「多分、僕が疎まれているからだろう。行きたくない者は残ってもいい。明朝出発。今日は準備だ。僕の下にいると、今回みたいなひどい内容の命令は今後もあるだろう。ただ、出世のチャンスでもある。僕と一緒にいれば出世はできるぞ。以上」
翌朝、1人も欠けることなく出発できた。
何泊もして、疲れてきた頃に国境付近に着いた。まずは崖の上から偵察をした。敵の千人隊はすぐに見つかった。国境の駐屯兵を相手に終始優勢だ。そして僕たちのいる崖の下を通って帰って行った。ゲリラ的な一撃離脱戦法が好きなようだ。先頭をきらびやかな甲冑の騎士が駆ける。隊長だろう。先陣に立つタイプだ。
「隊長、どうなさいますか?」
「ん?勿論、戦うで」
「敵は3倍ですよ」
「うん、でも、これは勝てるな」
「勝てますか?」
「今から準備、次に奴らが出て来た時に仕掛けるぞ」
翌日、ルフランの千人隊が暴れて帰ってくるところで、僕たちは崖から大きな岩を幾つも落として分断した。これで、敵将の周囲には100~200人。
勿論、敵は魔法で岩を取り除こうとするので、こちらのジョンの一隊で敵の魔法を無力化する。
「行くぞ」
僕は大剣を抜き、騎馬で崖を駆け下りた。味方も必死でついてくる。
崖から降りてから、僕は周囲の敵兵を斬り倒していった。そして、きらびやかな敵将の首をはねた。
僕ははねた敵将の首を拾って岩の上によじ登った。
「敵将、討ち取った」
岩の向こう側の兵士達が一斉に逃げた。岩のこちら側の敵兵も剣を捨てて投降した。
「隊長、捕虜はどうしますか?」
「つれて帰ろう。捕虜交換の時に役に立つ」
僕らの隊には1人の死者も出なかった。死者が出なかったのはたまたまだろうが、僕たちの完璧な勝利だった。
敵将の首を持ち、捕虜を連れてきた僕に対して、本部の連中は驚きを隠しきれなかった。僕は見ていて小気味よかった。
「何かほしいものはあるか?」
本部の上司が言った。褒美の話だ。
「昇進をお願いします」
「む… では、500人長にしよう」
「敵の千人長を斬って、500ですか?」
「うるさい、次の戦闘のことを考えろ」
「はい。失礼しました」
将軍までの道のりは遠い。
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