7.非日常⑤
夜の来客。
僕たちは、見えない敵を相手に劣勢だった。
僕は、出血で朦朧としながら突き出てくる剣に対応した。が、限界はある。
「副隊長」
「おう」
動けないはずのシュウが剣を自分の影に刺した。
「ギヤアアアア」
悲鳴が上がった。
シュウはすぐにベッドの上まで飛んできた。
「副隊長、どうやって術を破ったんですか?」
「精神力。元々俺は魔法を使えなかったからな。精神力を鍛えて防御するしかなかったんだ。だが、時間がかかった。申し訳ない」
と言いながら、レイラの影まで跳んで影を突いた。
「ギアヤアアア」
「シュウ様、ありがとうございます。これで動けます」
すると、影が1つ室外に逃げていく姿が見えた。
「あれが敵だったんだな。3匹か…」
その時、
「ソフィア様、大丈夫ですか?」
「ユーリがソフィアに駆け寄った」
「極めて浅いかすり傷ながら、ソフィアは足の甲を斬られていた。
「ソフィア様、守り切れず申し訳ありません」
そう言って、そこで僕は気を失った。
「レイラ、リーを呼んできてくれ。ユーリ、レンに回復魔法だ」
シュウの声が遠くに聞こえた。
刺客に関しては、僕が気を失っている間にリー隊長が親衛隊400人(ワンタン達100人が増えたから)でソフィアを完全に護衛し、駐屯兵が捜索に出たらしいが結局みつからなかったらしい。
僕は“王女を身を挺して守った男”と後日評価されたが、
それ以上に“王女を守れなかった男”と言われることの方が多いらしい。
この事件は、王女暗殺未遂事件として国中に噂が広まることになった。
僕は1週間、絶対安静だった。レイラ達、護衛隊員の仲間がよく見舞いに来てくれた。嬉しかった。
だが、“ソフィアを守り切れなかった”ということは、僕の心の傷として長い間癒えることなく残った。
★メッセージ、コメント、評価、感想、レビュー、ブックマーク等よろしくお願いいたします★




