セカンド ファンタジー (第4章 第49話)
シロー着任。
「シロー、着任しました」
シローは老将に敬礼した。
「お主ほどの男ならば安心じゃわい」
「はっ、ありがとうございます」
「儂が床に伏している間も全権を委ねる。最低でも、負けないようにしてくれ」
「わかりました」
「フビジー、マリー、テレサー」
ロベルトのテントから出ると、3人組に出会った。
「お久しぶりです。シロー様」
「なんや、少し太ったんとちゃいますか?」
「シロー様に来て頂いて、安心しました」
「3人共、ここがもう少し落ち着いたら、一時帰還命令が出るからね」
「えー」
「えー」
「そうなん?」
「今度は無視せず従うように」
「……」
「返事は?」
「はーい」×3
「じゃあ、僕はラインハルト君やミラー将軍と話があるから」
「えー、もう行ってしまうん?」
「また、後でゆっくり話そう」
「ロベルト様からシロー様になって良かったなぁ」
テレサがストレートに言った。
「そうだな」
「ロベルト様、雰囲気が重すぎですからね」
「だが、此度の戦いの功労者だ。指揮官らしき活躍はしておられる」
「そうですけど」
そこへ3馬鹿がやってきた。
「何のお話ですか?」
と、ギルバート。
「重傷のロベルト将軍の代わりにシロー将軍が来たから、その話」
「シロー様ですか?是非、一度お会いしたいと思っていました。
「ギルバートはシロー様のことを気に入っているのね」
「攻守のバランスの取れた名将ですから」
「それでは、後が楽しみだな」
「はい、楽しみです」
「でも、シローって“おつかいシロー”のことだろ?」
言ったのはケイジ。
「確かに、そういう異名もあるな」
フビジが笑った。
「おつかい将軍?」
フィリップが首をかしげた。
「家政婦が休みの時はシロー様がおつかいに行かされるのよ」
マリーも笑っていた。
「寛大な御心、尊敬に値します」
ギルバートだけは好意的だ。
「単に奥様の尻に敷かれているだけでしょうけど」
「いやいや、家庭を愛するが故に出来ることなのでしょう」
「ほんなら、あんたもそんな風になってもええんか?」
「え?いや、それは…」
「将軍自らのおつかいやで。店の人も恐縮するやろうなぁ」
「……」
ギルバートは黙った。
「それはそうと、ギルバート」
フビジが話題を変えた。
「なんでしょう?」
「最近、フィリップから魔法を教わっているらしいな」
「はい!そうなんです」
「どのくらい出来る様になったんだ」
「見てください、この火の魔法」
ギルバートが両手のひらの間に、ゴルフボールくらいの火球をつくった。
「どうですか?」
皆、手のひらの間にバスケットボールくらいの火球を軽々と作って見せた。
「えー?」
「えー?と言われても…」
「初歩ですからね」
「待てよケイジ、どうしてお前まで出来るんだよ」
「初歩だからな」
「ずるいぞ、“自分は剣で勝負する”って言ってたじゃないか」
「だから、実戦では防御魔法以外は使っていないだろう」
ギルバートは赤っ恥をかいた。
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