セカンド ファンタジー (第4章 第46話)
小競り合い。
「伝令です。敵の援軍が到着しました!」
シャーロンポが司令部テントに飛び込んだ。
中には重傷のロベルト、ミラー、ラインハルト、モニカ達がいた。フビジの姿は無い。
「こちらの援軍は間に合わなかったか」
ロベルトが淡々と言う。
「ラインハルト、ミラーと連携して対応しろ」
「いつも通りの撤退戦ですか?」
「ああ、撤退しながら半包囲できるといいが」
「わかりました」
「くれぐれも無理はするなよ」
「はい」
「勝たなくて良い。負けなければ良いのだ。気楽にやれ」
「では、配置につきます」
「敵の一隊がこちらへ攻めて来ます!」
「妖精の水遊び!」
とりあえず敵の足止めをした。
「弓兵、前へ」
「構え…、斉射」
今、数ではかなりの不利だ。まずは離れたところから敵の数を減らす。
「様子が変だな」
モニカがテレサに言った。
「どこが?」
「今、飛び出してきたのは5千人程度だ。敵は数の上で有利。仕掛けるなら兵力を分散しない方が良い」
「言われてみれば」
ドルート陣営では…。
「レモネードめ、言うことを聞かないな」
レモネードが先走ったことで長兄のカスタードがため息をついていた。
「まあ、いつものことだろう」
ママレードが言った。
「いつも、すぐに一度当たってみないと気が済まないんだな」
「ここまで来るのに兵も馬も疲れている。まずは少し休ませてやりたい」
「でも、先に援軍として到着したから今がチャンスかもしれないよ」
「確かに。休んでいる間に敵の援軍が来たらキツイな」
「で、どうする?」
「休む」
「なんだ、おもしろくないな」
「負けなければいいんだ。大事なのは兵を死なせないことだ」
「あ」
「どうした?」
「足止めされつつも味方が頑張って進軍している」
「それで?」
「敵の矢で兵を消耗している」
カスタードがママレードにいちいち聞くのには理由があった。
ママレードの目は特殊だった。千里眼と呼ばれていた。
遠方までよく見える。カスタードに見えなくてもママレードには見えるのだ。
「味方の進軍に応じて敵が引いている。あくまでも矢で兵を減らすつもりらしい」
「それで?」
「ん?敵の中央は引くが左翼も右翼も引いていない。ダメだ、半包囲される」
「不味いな。5千では1万3千に包囲殲滅される」
「テレサ、跳んで。敵将を見つけてちょうだい。後方にいるらしくて見えない」
「イウイウシー」
テレサは跳んだ。多少の飛翔術は心得ている。
少しすると、テレサが馬上に舞い降りた。
「どうだ?」
「見つけましたわぁ」
偶然、テレサも千里眼の持ち主だった。
「そうか、いけるか?」
「遠いけど、ギリギリ届くんちゃうかなぁ…やってみないとわかりません」
「よし、やるぞ」
「ほな、やりましょか?」
「今、誰かが跳んだよ」
ママレードが言った。
「また跳んだら撃ち落とせ」
「了解」
ママレードは強(剛)弓を取り出した。
「妖精の水遊び!」
テレサが跳んだ。
「水流一矢!」
ママレードが矢を放った。普通なら、あり得ない距離だった。
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