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【祝! 107000PV突破】ファースト ファンタジー  作者: 崔梨遙
第7章 セカンド ファンタジー フビジの冒険
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セカンド ファンタジー (第4章 第18話)

小話――東部戦線 一四 マリーとケイジ

 小枝を踏む音で、背後からの接近に気がついたマリーは、振り返らず、前を向いたまま投げやりに口を開いた。心なしか、その目元には、いくらかの涙が溜まっているようにも見える。


「……一人にしてくれないかな?」


 怒気を帯びたような、それでいて、今にも泣き出してしまいそうな萎れた声に、ケイジの胸は、つかまれたかのようにぎゅうっとなった。


 俺が友を慰めるのだ。そんな気持ちからか、気がつけばケイジは自然と口を開いていた。


「俺は……馬鹿だ。お前みたいに周りが見えるわけでもなければ、フィリップのような魔法が使えるわけでもねえ。フビジ様みたいな剣の腕はねえし……ほんと、頼りにならねえ男かもしんねえ。でもな! 俺だって、友のために命をなげうつ覚悟なら、いつだってできていらあ! 俺はお前を信じている。だから、お前はいつもどおり、最高のタイミングで俺を放てばいい! 死んでも、必ずお前の前に道を開いてやる」


 ほんと、なんでこいつはバカなのだろう。


「何それ……。死んだら、意味ないじゃない」


 呆れるような、あるいは安心するかのような複雑な表情で、マリーがかすかに笑う。それを見て、ケイジもまた、ほっとしたように胸を撫でおろすのだった。


「う、うるせえな。仕方ねえだろ、俺は頭が悪いんだ」


「……。ごめんね。迷惑かけた」


「いいってことよ。俺のほうが、その何倍もかけているんだからな」


 自覚があるなら改めてほしい。

 そう思ったマリーであったが、今だけは言わないと心に決めた。







「作戦があるの」


 戻って来たマリーが告げたものは、思いもよらない内容の戦法であった。フィリップは目を丸くして茶をこぼし、フビジは、自身の見立てが誤りでなかったのを喜んだ。やはり、マリーに任せて正解だったのだ。


「……それで、どうかな? エクレアを討つのは、最終的には私たちになるけれど、この作戦は、お姉さまの力によっている部分も大きい。無茶なところが多いやり方なのだけど、できるかしら?」


「無論だ。マリーがここまでしてくれたのだ。私が『できません』では義理が立たない。必ず、やり遂げてみせる」


 だが、いまいち不安を拭えないマリーは、改めてフィリップ(・・・・・)の顔を見つめた。


「問題ありませんよ。それでいきましょう」


 力強くうなずく姿を見て、マリーも自分の作戦に自信を持つ。そのことを、まるで自分のことのように喜ぶケイジが、笑いながらマリーと拳を叩きあった。

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