セカンド ファンタジー (第3章 第10話)
アヤメの稽古。
「では、次は私が」
キュウが抜刀した。
「待て」
アヤメが制した。
「どうかしましたか?」
「好きな男と闘いたくはない」
「と、おっしゃいますと」
「そなたとは闘わない。次は誰じゃ?」
「それでは私が」
フィリップが剣を抜いた。
「うむ、来い」
「はじめ」
フィリップは舞い上がった。結構高くまで。
「何じゃその技は?」
「私は風使いなのです。浮遊術です」
「それでどうするのじゃ」
「こうするのです」
フィリップが急降下した。地上のアヤメに剣を振るった。
アヤメが受け止めた。
フィリップがまた舞い上がる。
「剣術の稽古だと言ったはずじゃ」
「魔法を使うのはダメですか?」
「勿論じゃ。反則負けにするぞ」
「では」
フィリップが地上に舞い降りた。
「改めて、はじめ!」
フィリップが攻めた。
少し細身の長剣で攻め続ける。
アヤメは防戦一方だった。
だが、
カキーン
アヤメの大剣の一撃でフィリップの剣が折れた。
「そこまで」
「よし、勝ったぞ」
「参りました」
フィリップは負けたことを気にする風もなく戻った。
「次は誰じゃ?」
「僕ですね」
ツバメが剣を抜いた。
「軽業師じゃな。面白い」
「はじめ」
ツバメが一気に間を詰めた。
一撃を放つ。
アヤメが受け止め、返す刀で一撃を放った。
ツバメが宙返りで避けた。
舞うようなツバメの剣術。
アヤメを翻弄するが、決め手となる一撃が出ない。
闘いは長時間に及んだ。
「もう引き分けでよくないか?」
アヤメが汗だくになって言った。
「ツバメ、引き分けで良いか?」
「構いません」
「では、引き分けで」
「うむ。最後はお主じゃな」
「はい」
ツバキが剣を抜いた。
「はじめ」
ツバメの時と同じだった。
剣舞のような、舞うような剣技。
アヤメはツバキとツバメの姉弟が苦手な様子だった。
全て防ぐが決め手となる一撃が出ない。
また長期戦になった。
「待て」
アヤメが疲れ果てた。
「どうしましたか?」
「今回も引き分けでよいのではないか?」
「ツバキ、どうだ?引き分けでよいか?」
「構いません」
「では、引き分けで」
「もう終わりじゃな」
「アヤメ様」
マリーが言った。
「あ?」
「私をお忘れですよ」
「そうであったな。すまぬ」
とはいえ、アヤメは肩で息をしている。
マリーは剣と盾を構えた。
「はじめ」
アヤメは最初から苦戦した。
攻防のバランスのとれたマリーには隙が無い。
やがて、マリーの剣がアヤメの喉元に突きつけられた。
「むむ、参った」
「マリーの勝ちです」
「2勝2敗3引き分けか」
「いかがでしたか?」
「もう少しやれると思っていたのじゃが…残念じゃ」
「またやりますか」
「後日、また頼む。おもしろかった」
「満足していただけたならよかったです」
「のうフビジ」
「はい?」
「私も戦場に行っても良い腕前じゃろう」
「それは…」
「何じゃ、今日の結果を見ればわかるじゃろう」
「ですが、大切なお身体ですからオススメはしません」
「戦場に出たいのじゃ」
「ハンベー様やキヨマサ様に言ってください」
「言えば“ダメ”と言われるに決まっておる」
「では、仕方ありませんね」
「だからフビジから言ってくれ」
「なんと言えばよいのですか?」
「私は戦場に出ても大丈夫な腕前だと」
「え?うーん、言うだけなら言ってもいいですけど」
「約束じゃ。次の戦には私も出るぞ」
「はあ…」
フビジは少し困った。
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