セカンド ファンタジー (第3章 第5話)
思わぬ戦闘。
大きな黒い筒。
それが何頭もの馬に引かれて進んでいる。
その周囲を大勢の兵士が歩いている。
「大物が来るぞ」
「なんでしょう?あの黒い大筒は?」
「多分、あれが爆破の正体だ」
「魔法無しでこれだけの効果があるのですかね?」
「だったら、火炎魔術師は廃業だな」
大筒が止まった。
間違いない。この騒動の原因はこの大筒だ。
大筒に黒い球体が詰められる。
「来るぞ」
「どうすれば?」
「皆、馬から降りろ」
皆、馬から降りた。
「伏せろ」
同時に再度爆音。
地響きもする。
城壁内に着弾して、着弾地点から広い範囲で街を吹き飛ばした。
「これが火薬か」
フビジの声にフィリップが答えた。
「火薬ですね。私も少量なら使うことがあります」
「城壁を破って堂々と入城か」
「どうします?」
「一度後退する。イロハの王都軍に合流だ」
フビジ達は馬に乗って大筒から離れた。
ハンベーの軍に合流する。
前衛部分を通り過ぎてハンベー本隊、ハンベーの騎馬まで接近した。
「おう、フビジ様」
「ハンベー殿、お手伝いします」
「それは心強い」
「私達は前衛へ移動します」
「お願いする。危険と思ったら引いていただいて構いませんぞ」
「わかりました」
ハンベーの許可を得て前衛部隊の中央に馬を走らせた。
大筒の姿が見えてきた。壊れた城壁を突破して王都内に入ってくる。
そして、また爆音。
前衛部隊の前列の兵士達が吹き飛んだ。
「突撃!」
次弾を打ち込まれる前にと、前衛部隊が突撃を開始した。
フビジ達も突撃する。
「マリー、キュウ、ギルバート、ケイジ、フィリップ、ツバキ、ツバメ、我々ははぐれないように注意だ」
「他には」
「後は各個人に任せる」
「了解」
敵の騎馬隊との衝突。
騎馬対騎馬。
フビジ達を脅かすものはいなかった。
特筆すべきはツバキとツバメ。
馬上でサーカスのように舞う。
鮮やかな剣技。2人には華があった。
2人とも実際にサーカスの団員だったことがあるらしい。
ナイフ投げや綱渡りなどの難しい芸も体得しているという。
フビジは2人からそう聞いていた。
ツバキとツバメは自由を求めて脱走。
2人で大道芸をやっていたが義賊の長との縁で義賊になったらしい。
剣技は厳しめに見ても千人長クラス。
はっきり言って、ギルバートやケイジよりも強い。
フィリップも何かと曲芸は得意だが2人には負けるだろう。
敵も味方も、ツバキとツバメの曲芸剣舞に魅了された。
そもそも走っている馬の上に立てるだけでも注目の的だった。
フビジは2人の給料をアップしようと思った。
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