セカンド ファンタジー (第2章 第19話)
義賊。
「どういうことだ?」
フビジが言った。
「蔵に忍び込む賊の姿をこの春夏秋冬んも警備員が発見したとのことです」
「義賊というのは?」
「最近、この街に現れている義賊だろうと警備員が言っています」
「戦況は?」
「義賊は逃げず真っ向勝負の構え。警備員が闘っています」
「そうか…」
「僕達も加勢しますか?」
「加勢しよう。なるべく殺さずに捕らえろ」
「わかりました」
「お姉様、私達も」
「ああ、すぐに着替えよう」
「私は何をすれば良いのじゃ?」
「キュウ!」
「はい」
「お前はアヤメ様を守れ」
「わかりました」
素早く着替えたフビジとマリーがギルバート達と合流する。
「フビジ様、ご無事で」
「3人共大丈夫だな」
「はい」
「賊は?」
「蔵の周辺です。この旅館の警備員達が闘っています」
「私達も行くぞ。1人も殺すな」
「はい」
中庭の蔵の方へ出る。
「警備員は包囲して待機、後は私達に任せろ、1人も殺すな、決して殺されるな」
「マリー、ギルバート、ケイジ、フィリップ、行くぞ」
「はい!」
「フビジ様、蔵の上に弓兵がいます」
「フィリップ、頼む」
「かしこまりました」
フィリップが弓を構える。
フィリップに矢が集まる。
ケイジとギルバートが矢を掴んだ。
フィリップの3連射。
3人の弓兵が蔵の上から落ちてきた。
「フィリップ、殺していないよな?」
「肩や腕しか狙っていません」
蔵の陰に身を潜めていた者達が姿を現した。
ざっと10人。抜刀している。
「ここからが本番だ!」
10人対5人。5人の方が絶対に不利だ。
だが、フビジが4人、マリーが3人倒した。
フビジは高速剣。マリーは左手に盾、右手に剣。
それぞれに死角ををつくらないように闘った。
ギルバート、ケイジ、フィリップはそれぞれ1人ずつ。
皆、峰打ちだった。
殺してもいいのであれば、もっと早く片付いていただろう。
殺さないように闘ったので少々手間取ったのだ。
敵の中に、飛び抜けて強い者が2人いた。
1人は女性、1人は男性。
女性の方はフビジが、男性の方はフィリップが相手をした。
「全員捕らえたな?」
「はい」
フビジはハンベーの部屋を訪れた。
「こんばんは、フビジ様。お疲れ様でした」
「夜分に失礼、捕らえた義賊について聞きたいことがあります」
「なんでしょうか?」
「間違いなく義賊なのですか?」
「はい。金持ちから盗んだものを貧しい者に与えています」
「どうして今まで見逃していたのですか?」
「大衆の人気があるからです」
「捕らえて罰すると政府が大衆から反感を抱かれると」
「さようで」
「あの者の処分は?」
「困りましたな」
「農地を与えて農民として活かすか、商人にするか、お咎めなしにしてもらえませぬか?」
「難しいですね。そうですね…義賊の噂を知らない違う街へ追放するなら…」
「では、それで」
「ありがとうございます」
「いえ、私達では捕まえづらいところをありがとうございました」
「もう1つお願いがあるのですが」
「なんでしょう?」
「賊の内2人を私があずかりたいのです」
「お供に加えるのですか?」
「はい」
「わかりました」
「ありがとうございます」
「捕らえた賊は明日にでも対応します」
「では、今夜はこれで」
「おやすみなさい」
フビジはハンベーの部屋から去った。
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