セカンド ファンタジー (第2章 第18話)
デート。そして夜。
「さて、夕食じゃな」
「何が美味しいですか?」
「お好み焼きはもう食べたのじゃな」
「はい」
「僕はまだです」
「それではお好み焼きはまたにしようか」
「アヤメ様、お肉がいいですか?魚がいいですか?」
「そなた達は?」
「えー!迷います」
「魚なら寿司、肉なら串カツか焼き肉といったところかのう」
「僕、まだお好み焼きを食べていません」
「では、肉がいいです」
「では、焼き肉屋へ行こう」
「僕、串カツがいいなぁ」
「焼き肉屋はいつも行っているところがあるのじゃ。ついてまいれ」
何故かキュウの意見は無視される。
「美味しい!」
「最高です!」
フビジもマリーも満足げだった。
キュウは黙々と食べていた。
「美味しいじゃろう?」
「はい」
「特にこの店で扱っている肉が良いのじゃ」
「柔らかいし美味しいです」
「まあ、ここは金持ちしか来ない店じゃからな」
「じゃあ、アヤメ様はお好み焼きは大衆っぽくてお嫌いですか?」
マリーが言うと、アヤメが否定した。
「庶民の食べ物にも美味しいものは沢山ある。私はお好み焼きも好きじゃ」
「ホヨウには沢山美味しいものはある。これから全て連れて行くぞ。次回は寿司じゃ」
「はい!」
「それで、どうしてキュウは黙っているのじゃ?」
「話題に入っていけないだけです」
「キュウはカルデア国内の武術会で5回戦まで残ったんですよ」
マリーが言った。
「5回戦と言われてもイメージが湧かんなぁ」
「15歳では信じられないような快挙なんですよ」
「そうなのか?」
「はい」
「それに弓の名手です」
「そうなのか?」
「国内でも有数の弓術の腕前です」
「そうなのか?」
「そうです」
「おかしいではないか?そんな男でこの二枚目なら女子からモテテしようがないだろう?」
「モテてますよ」
「そうなのか?キュウ、そなたはモテるのか?」
「そんなことはないです」
「鈍感すぎて気付いていないだけです」
「そうじゃのう。やっぱり後は会話じゃのう。会話さえ出来れば最高の男になると思わぬか?」
「そう思います」
「私も」
「……」
キュウがまた沈黙した。
旅館、春夏秋冬に戻った。
「今日は私もここに泊まるぞ」
「良いのですか?」
「友達の家にお泊まりに行くのが夢だったのじゃ」
「はい、では私達と寝ましょう」
「うむ」
女性の寝室と男性の寝室は少し離れている。
やがて男性陣の寝床がうるさくなった。
灯りがつく。怒鳴り声。
すぐに旅館中がバタバタと活気に満ちた。
活気?いや、緊急事態だった。
フビジ達も目が覚める。
そこへ抜刀したキュウが飛び込んで来た。
「盗賊です!義賊と名乗る者が侵入しています!」
★メッセージ、コメント、評価、感想、レビュー、ブックマーク等よろしくお願いいたします★




