セカンド ファンタジー (第1章 第10話)
山賊退治②。
ノア地方へ向かうフビジ達。
「フビジ様は山賊退治は初めてですよね?」
「ああ。ギルバートはあるのか?」
「一度だけあります」
「どうだった?」
「山賊の剣は我流。こちらの方が剣技に優れていましたので圧勝でした」
「数は互角だったのか?」
「こちらの方が少し多かったですが、ほとんど変わりませんでした」
「今回はそんなに楽な仕事なのか?」
「多分、楽勝ですよ」
「そうか」
「もっと難しい任務の方が良かったですか?」
「まあな」
「どうして難しい任務を望むのですか?」
「早く剣士として一人前になりたいからだ」
「充分、一人前ですよ」
「では、天下一の剣士になりたい」
「最強の称号がほしいのですか?」
「そうだ。父王も王である前に剣士だった」
「あの方は特別ですよ」
「母も強い」
「ソフィア様の護衛隊長じゃないですか、比較する相手が凄すぎるんですよ」
「そうかな?」
「そうですよ」
「だが私は醜いからな。剣に生きないといけない」
「フビジ様は素敵な方ですよ」
「お前は私の顔を見ていないからな」
「それはそうですけど…」
「ところで」
「なんでしょうか?」
「前回の戦で敵の千人長と闘ったとき」
「はい」
「勝てると思っていたのか?」
「ええ、勿論」
「そうか」
フビジは落胆した。
「どうかしましたか?」
「彼我の力量もわからないのだな」
「ひどいですね」
今度はギルバートが落胆した。
「まあ、2人で落ち込んでも仕方がない」
「そうですね」
「山賊の大将はなかなか強いと聞いたぞ」
「我流の剣術、噂ほどではないですよ」
「そうかな」
「そうですよ」
「だが、油断は良くない」
「はい、気をつけます」
「ギルバートって…」
「はい、何でしょうか?」
「楽観的だよね」
「…ちょっとショックです」
「いや、それは長所かもしれない」
「慰めですか?」
「そうだ」
ギルバートがまた落胆した。
何日か過ぎるとノア地方との境まで来た。1キロメートルほど、山あいの道が続いている。
「ここで襲われることが多いらしいですね」
「だろうな。山の上から下に矢を放つだけで混乱に陥れることが出来る」
「混乱したところに突撃ですね」
「だろうな」
「どうしますか?」
「山の下ではなく上へまわろう」
「なるほど」
ノアに向かって左側の山の上へ。こちらの方が右側より緩やかだったからだ。
「そろそろ矢が降ってくるのではないか?」
「そうですね」
「皆、これから矢が振ってくる。盾を上手に使え!」
フビジは部下に声をかけた。
すると、矢が振りはじめた。だが、フビジ隊に動揺は無かった。
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