4.風向き⑤
火事の後で。
その夜は、ソフィアをテントで寝かして僕たち13人が寝ずにソフィアを守っていた。
「ソフィア様を狙った犯行ですよね?」
と、僕が言うと、
「そうかな?」
と、シュウが答えた。
「違うんですか?」
「ソフィア様を狙うなら、火事ではなく爆破させていたんじゃないか?」
「あ、確かに」
「どちらかというとオリヴェルに対する攻撃のような気がする」
「オリヴェルはそんなに憎まれていたんですか?」
「どこへ行っても不人気だ」
「でしょうね」
「恨んでいる者が多いので、誰の犯行かは断定できない」
「犯行に及びそうな者が多すぎるんですか?」
「ああ、あいつは何人かの貴族や豪族を失脚させているしな」
「じゃあ、オリヴェルに対する嫌がらせもしくは復讐の線が濃いですね」
「でも、魔法と兵士に守られた館を燃やされるかな。しかも王女がいるときに…」
「どういうことですか?」
「ソフィア様を担ぎ上げる者がどうなるのか?見せしめとか…」
「ソフィア様の政敵ですか?」
「その可能性もあるにはある。だが、今は情報量が少ないので断定はできない」
「こんなことをするのは第2王女のベアトリーチェくらいしか思い浮かびません」
レイラが会話に入って来た。
「第2王女?」
「その線もあるんだよなぁ」
シュウは頭をかいた。
「ソフィア様の姉上ですか?」
「母親は違うけどな。第2王女は“自分が女王になるか、いずれ生まれる息子に王位を継がせたいと思っている”……という噂があるのは確かだ」
「そんな噂があるんですか?」
「あくまでも噂だ。だが、噂にしてもソフィア様には言えないからなぁ」
「言った方がよくないですか?」
と、僕。
「“ソフィア様のお姉様が犯人かもしれませんよ”って言えるなら言ってきてくれ」
「ちょっと言えませんね」
「ソフィア様には言わない方がいいでしょう。私はソフィア様の心配事を増やしたくないです」
と、ユーリ。
「ということで、レン、第2王女のことは言うなよ」
「そうでなくてもユリウスの件で憂鬱のご様子だ。ソフィア様は恋愛結婚を希望しているからな。王位継承なども考えていらっしゃらない」
と、レイラ。
「そうなんですか」
「政治的な陰謀などもお嫌いだ」
「そんな感じがしますね」
「自分や自分の子供に王位を…ということも考えていらっしゃらない」
その時、リーが現れた。
「シュウ、レイラ、ユーリ、レン、ソフィア様がお呼びだ」
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