22.聖戦⑭
終盤。
「何?何が起こったの?」
「お腹の子供が力を貸してくれているわ」
「そんなことあるの?」
「子供の力を感じる」
「ますます生かしておけないわね」
「どうして?」
「私が王位につくのに邪魔だからよ」
「何故、王位にこだわるの?」
「うるさい、カルデアは私だけの国」
「王はお姉様の旦那様でしょう?」
「あんなのは傀儡に決まっているでしょう?実質的に権力を持っているのは私。実権を握っていればそれでいいのよ」
「そのためにお父様もエリザ姉様も殺したのですか?」
「そうよ、だって邪魔だったから」
「本当にカルデアが欲しいだけなんですね?」
「悪い?私の母は身分が低かった。そのせいで不遇だったのよ。あなたが知らないだけよ」
「かわいそうなお姉様」
「うるさい、私に同情するな」
ベアトリーチェが剣を振るった。再び聖剣が光る。
ソフィアの聖剣も再び輝き始めた。先程よりも勢いがある。
ソフィアの腹部が輝きを増す。
白光対白光。今度はソフィアの方に明らかに有利だ。
「お姉様には負けられない」
「嫌ー!」
部屋の壁や天井はとっくに崩れかけている。ベアトリーチェの悲鳴が響く。
ベアトリーチェは全身が焼けただれている。生きていることが不思議なくらいだ。
よほど生に執着があるのだろう。ボロボロの身体で回復魔法を発動する。
僕はベアトリーチェに飛びついた。
「何?放しなさい」
「そうはいかない。これで終わりだ」
「やめて!」
「自爆!」
僕の身体が爆発した。ベアトリーチェの身体も吹き飛んだ。
ソフィアが悲鳴をあげた。
僕は意識を失った。
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